「ノルウェイの森」

少し前に職場の人から借りて読んでいた本が読了しました

村上春樹著 「ノルウェイの森

村上春樹の作品はいくつか読んでいますが、この作品はあまりにも話題に
なりすぎた感があって、なんだか手を出す気になれなかったんですよね(^^ゞ
それが今回、たまたま読む機会に恵まれたので、どれどれと読んでみることに
しました

この作品は、村上春樹の作品にしてはストーリーがはっきりしているというか、
現実に沿ってきっちりと物語が進んでいく感じで、彼の作品によくあるファンタ
ジーのようなエピソードはほとんどなくて、ちょっと意外な感じがしましたね。


あらすじとしては、主人公の大学生ワタナベくんが高校時代の親友で18歳の
時に自殺したキズキくんの恋人であった直子に思いを寄せるのだけど、彼女は
キズキくんの自殺のショックなどで精神的に不安定な状態となり、療養所に
入所しているのですね。

その心の支えとなり誠実に彼女を愛しつつも、ワタナベくんは同じ大学に通う
緑とも心を通じ合わせていきます。
最後にはショッキングな出来事があり、それを乗り越えた後、ワタナベ君は自分
で人生の決断をするのですね。


最初、上巻の半ばまで読んだときは、これはぜひ高校時代に読んでみたかった
なあと思ったのですが。
下巻に入って性的な描写が少し多くなって、ちょっとこれは高校時代では無理
があっただろうな、と思いました(笑)
でも、やっぱり20代のうちに読めたらとてもよかっただろうなと思わずにはいられ
ませんでした。

主人公のワタナベくんのひたむきで誠実なところ、また、会話の部分などを読
んでいると、彼と村上春樹本人とがダブってきて、こういう男の人っていいなあ
と感じましたね。
直子と緑の二人の女性だけではなく、周りの人たちがみな彼に惹かれるのも
無理はないなと思いました

彼と正反対の性格というか、本人なりに自分に正直に生きてはいるのだけど
何か好感の持てない先輩の永沢さんという人とは対照的でした。
彼は文句のつけようのない素敵な恋人ハツミさんがいるのに、行きずりの女性
と関係を持つことをやめようとせず、結婚もする気はないのですね。
とても優秀で魅力的な人なのだけど、誰かと何かを築いていこうと気がまるで
ない人で、自分の“システム”にこだわってそのことで大切な人を傷付けてし
まっても仕方ないと思ってるような人なんですよね。
かなりのちのエピソードとして、ちらりと彼とハツミさんのその後に触れた箇所
がありましたが。
それは想像を絶する破滅的なものでした。

それでも、良くも悪くも自分というものをしっかり持っている永沢さんは
「自分に同情するのは下劣な人間のすることだ」
などと言ったりもします。
のちにこの言葉は、精神的に危機的状況を迎えたワタナベくんを支えることと
なります。


自分の心が震え、揺れ始めるのを感じないわけにはいかなかった。
そんな震えはたいてい夕暮れの時刻にやってきた。
木蓮の香りがほんのりと漂ってくるような淡い闇の中で、僕の心はわけもなく
膨み、震え、揺れ、痛みに刺し貫かれた。
そんなとき僕はじっと目を閉じて、歯をくいしばった。
そしてそれが通り過ぎていってしまうのを待った。
ゆっくりと長い時間をかけてそれは通り過ぎ、後に鈍い痛みを残していった。



そう。誰にでも覚えがあると思いますが、つらいときってこんな感じですね。
男の人はじっと目を閉じて”それ”が通り過ぎるのを待つのですね。
女はそんな悠長なことはしてられないので、とりあえず体を動かして家事など
片づけつつ、“それ”が通り過ぎるのを待つんですけどね(笑)


この作品の冒頭のシーンも、のっけから印象的なのですが、少しセンチメンタル
な感じもしてどうかとも思いましたが。
37歳のワタナベくんがハンブルク空港に着陸しようとしている機内で、直子との
思い出の曲、ビートルズの「ノルウェイの森」がスピーカーから流れてきたのを
耳にしたところ。


そのメロディーはいつもとは比べものにならないくらい激しく僕を混乱させ揺り
動かした。
僕は頭がはりさけてしまわないように身をかがめて両手で顔を覆い、そのまま
じっとしていた。
やがてドイツ人のスチュワーデスがやってきて、気分が悪いのかと英語で
訊いた。
大丈夫、少しめまいがしただけだと僕は答えた。
         
               ―中略―

前と同じスチュワーデスがやってきて、僕の隣に腰を下ろし、もう大丈夫かと
訊ねた。
「大丈夫です。ありがとう。ちょっと悲しくなっただけだから」
「そういうこと私にもときどきありますよ。よくわかります」



読了してみると、確かにああいう経験を若い時にしていたら、ふとした瞬間にこ
んなふうになってしまうのも無理はないなという感じでしたね。
この37歳になったワタナベくんが誰とどんな暮らしをしているのかわかりませんが。
幸せであってほしいなと思いました。

最後のほうはひとりで部屋で読む気がしなくて、カフェで読みました。
人に借りた本は痛めてしまうので持ち歩かないようにしているのですが、今回は
その信条を曲げてでも、ひとりっきりの部屋で読むのはいやだったので(笑)
あやうく、カフェで涙が出そうになりました。
かなり心を揺さぶられましたね(~_~;)

最後のほうは、私の頭の中でもビートルズの「ノルウェイの森」が聞こえて
いました。

この作品、今回読めてとてもよかったです(*^_^*)




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この記事へのコメント

2009年10月13日 23:25
最近、読書らしい読書してないので読んでみようかなぁ~
いっつも本読もうと思うんですが、どれにしようか迷い結局読まずってことが多くて・・(ノ∀`*)
2009年10月13日 23:31
ぴかりんさんのとこをクリックしたとたん、携帯にぴかりんさんからのコメントの知らせが(笑)
以心伝心ですね
私もブンガクにはなかなか手が出ないですね。もっぱらエンターテインメント系かエッセイばかり読んでます(^^ゞ
2009年10月14日 00:52
私は 久々に図書館行ったのに 選書に失敗(>_<) 不発~~!ぶぅぶぅぶぅ!
2009年10月14日 10:15
まだ読んでないです。
ずーっと気になってるのに。何故かな?
「1Q84」がすごく面白くて
続編を待っています。
先日大宮エリーの「生きるコント2」を
読みました。キーブーさんも好きなのでは?と
想像してます。エッセイも良いもんですね。
今まであまり読んでないので これから
ちょこちょこ手を出したいです。
2009年10月14日 15:22
まるおおさん、こんにちは
あ~、ありますよね、それ
でも、せっかく借りたのだからと頑張って読んで、結局つまんなくて時間をドブに捨てちゃった、なんてことになったり。
借りたものなのだから、つまんなかったらそのまま返せばいいものを、もったいない気がして読んじゃうんですよね、私(自爆)
2009年10月14日 15:29
みいなさん、こんにちは
私もこれ、ずーっと気になってたのに手に取りませんでした。なんででしょうね?(笑)
「1Q84」、やっぱ面白いんですね。文庫になったら買うとするかな。それまでは読まずにずっと楽しみをとっときます
大宮エリーの「生きるコント2」、ですか。エッセイなんですか?興味あるのでこれはぜひ図書館で予約してみますね。

エッセイって、著者とじかにお喋りしている感じがしてとても楽しいです。群ようこのエッセイなんかも面白いですよね。みいなさんもきっとお好きなのでは?(*^_^*)
りぃー子
2009年10月14日 18:26
ちょっと驚きました。
私もなんです。
村上さんの本は何冊か読んでるけど
この本はやっぱり売れすぎて・・・

私もイヨイヨ読む時期になったのかな?
読んでみよう。

>大宮エリーの「生きるコント2」
私も興味を持ちました^^;
読んでみようかな~♪

今の時期にピッタリの会話で、楽しいですね!
2009年10月14日 19:17
りぃー子さん、こんばんは
あらら。この作品は猫またぎ?みなさん避けちゃってるんですね(爆)
そう、イヨイヨ読む時が来たんですよ、りぃー子さん。覚悟はできてますか?(笑)
みいなさんお勧めの大宮エリーの「生きるコント2」も、この機会にぜひ一緒に読んでみましょうね(*^_^*)

そう、読書の秋ならではの会話ですね
普段はどうしても食欲の秋に流れちゃうので、たまにはこういう会話もいいもんですね(爆)

miyo
2009年10月14日 23:31
私きっと…村上春樹の作品て読んだ事無いわ!Σ(゜Д゜)村上龍なら読んでたけど。
題名からして外国の、外人のストーリーかと思ってたけど違うんですね(もうこの時点でお前は読むな!とお叱り受ける感じ)ホラー小説ばかり読んでないで、こういうのも読まないとなぁ(笑)キーブーさんのレビュー読んでたら興味わいてきました♪
2009年10月14日 23:50
miyoさん、こんばんは
ホラー小説、私も大好きですよ。あれを布団に持ち込んで寝る前のひととき、ぞくぞくするのもまた楽しからずや、ですよね(笑)
この作品は読んでてどんどん引き込まれましたね。この後いったいどうなっちゃうんだろう、って感じで。
私もいわゆる文学的なものはからっきし読んでないし読まず嫌いだったりもするのですが、これはとても楽しめました。
よかったらmiyoさんも一度読んでみてくださいね
みいな また
2009年10月15日 08:37
大宮エリーの「生きるコント1」も
すっごく面白いし 出来れば 「1」から
読まれたほうが良いと思います。
2009年10月15日 12:52
みいなさん、いらっしゃい(*^_^*)
わざわざありがとうございます
そう、「2」というからには「1」もあるんだろうなと思い、図書館で予約する時に確認してみようと思ってました。
順当に「1」から読んでみることにしますね

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