「人生問題集」




もう言うのもイヤになりますが、ほんとにいつまで暑いんでしょうねえ

唯一良いことといったら、洗濯物があっという間に乾くことですが。

そうはいっても、外を歩いていたら即干からびてしまいそうなくらいの日差し
ですよね

今年でこんなふうだったら、私たちが老人になる頃にはもっとすごい灼熱地獄
になっているのかなあ。

長生きしたあげく、暑い夏に苦しんで熱中症で死亡なんて、あまりに悲しい
よなあ、などとどうでもいいことを考えつつ図書館をふらふらして見つけた本が
これ


春日武彦 穂村弘 著  『人生問題集』


棚にこの本を見つけたときは、一瞬でパキッと目が覚めましたね。

だって、穂村弘さんの未読本!

またどんなおもしろいヘタレ話が詰まっているのかな、と手にとってみたら。

今回は、共著ですね。


お相手の春日武彦さんって、初めて聞く名前でしたが、穂村さんが関わって
いておもしろくないわけがないということで、帰宅してからぐいぐいと読み
始めました(^^♪


春日武彦さんは、1951年生まれで精神科医で作家とのこと。

内容としては、選んだテーマについて、ふたりで対談をするというもの。

そのテーマは全部で14個で、友情、怒り、救い、秘密、努力、孤独、仕事、
家族、不安、記憶、言葉、お金、愛、読書。

これらについて、ふたりで思ったことを対話しているのですが。

おふたりはかなり親しい間柄らしいのが、穂村さんののびのびとした話しぶり
でわかりましたね。

ときには精神科医である春日さんの心理分析のようなことを、穂村さんが
遠慮会釈もなくやっている場面などもあり、穂村さんの新しい一面というか、
ほんとうの穂村さんを見てしまったのかな、なんて思ったりもしました(笑)

その流れで、一番驚いたのは『不安』についての部分。

春日先生が、
「俺は生まれてから不安じゃなかったことなんてない気がする。一年中不安
だよ」
と言ったところ。

患者さんを精神分析して救っている精神科医にして、こうなんだなあと、
ちょっと目からウロコな感じでした。

春日先生の話はさらに続き、
「不安の一番大きな要素は、空虚感と罪悪感と取り返しがつかないという
気持ち。
それがずっと持続していて、心から笑ったことなんて、ない気がする(笑)」

「ひとり暮らしをしていたとき、煙草の火の始末が不安で、吸い殻をスクリュー
キャップつきのガラス瓶に入れて、さらにそれを冷凍庫で冷やして顔に押し
付け、ひんやりしたところを確かめないと家を出られなかったことがある」

読んでいて、うんうんわかる、という気持ちと、ええ~、という気持ちとが半々な
感じでしたね。

だって、私たち一般人が迷った時に最終的に救いを求めるのが精神科医
なのに、これじゃ最後のストッパーもあてにならないよなあ、って(~_~;)

でも精神科医といえど人間なのだし、あたりまえといえばあたりまえなこと
かもしれないですよね。

それに、なんだか親近感もわいてきたし(笑)

でも、さすがに吸い殻を冷凍庫に入れないと気がすまないというのはちょっと、
理解不能な感じでしたが


このおもいがけない先生の告白に対して、我らが穂村さんは、こんなふうに
意見を述べておられます。

「人間には、次の一瞬に根拠のない死が訪れる可能性があって、その死を
多かれ少なかれ隠ぺいしなければ生きていけないよね。
何の根拠もないけどあと十年は生きているだろうというような暗黙の合意に
よって何とか生きてはいるけど、本質的には死を隠ぺいしているだけだから、
未来に漠然とした不安を感じることには妥当性があると思う」

ほ、穂村さん。

何だかいつものあなたとすこーし違うような(笑)


さらに、彼の意見はこう続きます。

「僕の友だちに、どんなに晴れていても折りたたみ傘を持ち歩く人がいるんだ
けど、彼にとっては不意の雨が小さな死なんだよ。
こういう未来に対する不安感ならわかる気がするけど、先生の不安は、どうも
過去に向いている気がする」


吸い殻をガラス瓶に入れてさらに冷凍庫で冷やした、というエピソードに対して
は、こんな疑問を投げかけています。

「まるで映画のワンシーンだね(笑)
その先生の不安が増幅していく感じと、折りたたみ傘を常時持ち歩く感覚と
いうのは、質的な差があるということかな?」

どっちが精神科医かわかりませんが(笑)

この疑問に対しての春日先生の答えは、
「不確実感の差じゃないかな」

さらに穂村さんが問いかけます。

「だとすると、いったいどのくらいの不安感を持つのが、妥当で正常域なん
だろう?」

それに対して、
「とりあえず、社会生活を送れるかどうかがひとつの基準じゃない?」
という春日先生に、穂村さんが、

「先生の『ひんやり』は、正常域なの?」


おっと。

穂村さん、今回は攻める側なんだ、と思いつつ、春日先生のお返事を読んで
みたら。

「あぶないところだね(笑)」


このふたり、名コンビです(爆)


ほかにもおもしろいところがたくさんあるのですが、例えば「怒り」のところ。

春日先生が、自分は物にも怒る、壊れたビデオデッキに裏切り者と怒鳴って
捨てたことがある、と言ったら、穂村さんが、
「原始人が、物にも生命があると信じているような感覚なのかなあ。
僕にはあんまりないな」
なんてバッサリ切り捨てていて、笑ってしまいました。


あいかわらず抱腹絶倒でヘタレで、それでいて鋭い穂村さん

今回は少し違った顔を見せていますね。

その穂村さんにけっこうツッコミを入れられている春日先生。


とても楽しく、そして共感できる内容でした。

特に、春日先生の不安感、空虚感と罪悪感と取り返しがつかないという
気持ちは、なんだかとてもわかる気がしました。

普段は怖くて目を向けてないけど、確実に私の心の奥にもそういう気持ちが
あるな、と思ったし。

また、穂村さんが言っていた、いつも折りたたみ傘を持ち歩く人。

それも身近にいましたね。

こぶた1号です(^^ゞ

まあそうはいっても、晴れてるときはさすがに持ってないですが。

曇りの日は確実に持ってますね(笑)


彼女にとって、雨にぬれるのは“小さな死”だったのかあ。

なるほど(爆)




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この記事へのコメント

2010年08月23日 21:03
私は傘を持ち歩かない派だなぁ~
降ってきたら状況によって考えるタイプ。
いろんな人たちと24日間生活してると、ひとつのことでもいろんなとらえ方があるって、本当に驚きの連続。
シャワーひとつでも、ぬるいシャワーを楽しめる人、
許せない人。それを自分で何とかする人と、人を呼び出して、なんとかさせようとする人、何もしない人…

miyo
2010年08月23日 21:16
私ね、人から言わせると毎日の荷物が多くて重いらしいのです。どれも毎日使ってる物じゃないんだけど、いざという時便利な数々がドッサリと(^_^;)たまに小さなバッグで出掛けないとならない時は選りすぐりの品を入れますが、ちょっと不安ですよ。でもその選りすぐりの品々でさえ使用しないのがあったりなので、私のこの厳選も人から言わせれば厳選ではないかも(笑)たまたま持ち歩かなかった時に、それがあったら良かったのにとなった瞬間、私は小さな死を経験するのか…『爪切り、いつも持ち歩いてるのに!無念…』何て叙情的なんでしょう( ̄∀ ̄)
2010年08月23日 22:33
 自身の本では、どちらかというと、他人に突っ込まれている穂村さんが、突っ込みに回っているようなのが、面白そうですね。
 書くものが面白おかしく自虐的で、妄想話が多いのは、本を面白くするテクニックじゃないかと思っていましたが、対話集という形で、隠されていた本質的なところが表れているのかもしれません(^^ゞ。
 いずれにしろ、物事をみる繊細さというかスルドサが読みとれそうです。面白そうな本で、読んでみたいです(^^♪。
2010年08月23日 23:15
なおみんさん、こんばんは
私も持ち歩かない派ですね。まあはっきりと降るとわかっていれば別ですけど、そうじゃなきゃムダになるかもしれないし、それに出先でなんとでもなるし(^^ゞ

そうだ、なおみんさんは旅行に出られてたんですね。お帰りなさい(*^_^*)
24日間も他人と一緒に過ごすのって、けっこうたいへんですよね。シャワーひとつでも・・・うーん、たいへんそう
2010年08月23日 23:22
miyoさん、こんばんは
miyoさんはいろんなものを持ち歩くタイプだったんですねえ(^^ゞ
あんなにいったい何が入ってるんだろ、っていうようなバッグをいつも持ち歩いてるヒトっているけど・・・miyoさんよ、アナタもか(笑)
んで、爪切り!?・・・帰宅してから切るんじゃダメなのかなあ(笑)
「小さな死」、小さくても「死」だから、数が増えるとけっこうダメージ大きいかもよ(^^ゞ
そういえばこぶた1号もいつも出勤時に大きなバッグとサブの小さなバッグを持っていってるんだけど、あの中身もそうとう淘汰できるはずのものが入ってるんだろうなあ(爆)
2010年08月23日 23:29
遊哉さん、こんばんは
穂村さん、いつものヘタレなエピソードもあるんですが、でも今回はかなりキレのいいツッコミぶりでしたね(^^♪
何より、おふたりともすごい読書家なんですよね。いろんな作家の本を読んでるし。私がこの場にいたとしても、とても話に入っていけないだろうなあ、と少し忸怩たる思いを噛みしめつつ読んでました(笑)
それに、春日先生という人にも興味がわきましたね。精神科医と言ってもスーパーマンじゃないんだなあ、って思ったし(当たり前ですが 笑)
あの「ひんやり」エピソード、けっこうこわ~い。。。
ただチャン
2010年08月24日 12:21
こんにちは(^-^*)/
今日も平熱ですね\(^^:;)
傘は持ち歩かない派です。
でも、電気製品や車を擬人化?するのは良く分かりますf^_^;
裏切り者!とは言いませんが‥
頼む!がんばれ!よくやった!みたいな(^^ゞ
2010年08月24日 17:44
ただチャンさん、こんにちは
ほんと、今日も暑いですね(~_~;)
私も自転車やらPCやらを擬人化しますが、腹を立てて怒鳴ったりはさすがにしませんよね(笑)
穂村さんが春日先生に「その壊れたビデオデッキは、ギリギリのところまで頑張ってくれて力尽きたんだ、とは考えないの?」なんて訊いてましたが。
裏切りは許さないのだそうです。春日先生、すごい・・・
みいな
2010年08月25日 16:41
今日本屋さんに行ったら穂村さんの
「本当はちがうんだ日記」があって早速買って
一気に読んじゃいました。いやあ、面白かった!
エッセイを読む楽しみを教えてくれたのは
間違いなくキーブーさんです。
本当にありがとうございます。
2010年08月25日 18:15
みいなさん、こんにちは
「本当はちがうんだ日記」、文庫本が出てましたよね楽しんでいただけて嬉しいです・・・って、まるで私が書いたかのようなコメントですが(自爆)
そう言っていただけるとすごく嬉しいし、ブログを書いてる甲斐があるというものです。私もみいなさんのブログでオッド・トーマスの世界を知ることができたのだし。私の方こそ、感謝してます。ありがとうございます(*^_^*)
2010年08月27日 12:37
こんにちは。
読んだあとに、自分のまわりに当てはめたり、置き換えたりするところがうまいですね。
距離感を持って読んでしまうとなかなかそういう風になりません。
私も工夫してみたいと思います。
2010年08月27日 17:52
moumou.h53さん、こんにちは
私は対談を読んでても、その中に入って自分ならこんなことを訊くなあとか、小説を読んでても、自分ならきっとこうするなとか、いつも考えながら読んでます。
距離をおいて読書するというのもアリだと思うのですが、私にとってはむつかしいですね(^^ゞ
だから、内容がハードなサバイバルものだったりするとけっこうクタクタになったりします(笑)

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