沙門 空海 唐の国にて鬼と宴す




暮れから時間をかけて読んでいた全4巻、読み終わりました(*^_^*)

夢枕獏 著  「沙門 空海 唐の国にて鬼と宴す」


前のブログ記事にも書きましたが、これを読んでいるときに近くのお寺で空海
の像を偶然発見したり、空海を紹介しているテレビ番組に出くわしたり。

こういうのを、意味ある偶然の一致、シンクロニシティというんでしょうか(笑)



あらすじは。

空海と橘逸勢(たちばなの はやなり)が遣唐使として入唐したころ、唐の国
では数々の怪異が続き、皇帝の命を狙う呪詛事件も起きていた。
それらが、約60年前の安禄山の乱における楊貴妃の悲劇の死に端を発する
と喝破した空海は、橘逸勢と、のちの大詩人白楽天とともに、唐王朝の大事に
かかわって行くことになるのですが。。。


まず物語は、唐の役人の家に猫の妖物が出て、時の皇帝の死を予言する
ところから始まります。

ふと屋敷に迷い込んできた猫が言葉を喋り、しまいにはその家の妻まで我が
ものとして、主人を追い出すまでになるのですね。

それと時を同じくして、人の話し声が夜な夜な聞こえていた畑の土の中から
俑(よう)がいきなり這い出てきたり。

俑(よう)というのは、日本の埴輪のようなもので兵が実寸大で作られていて、
皇帝が亡くなったときに、あの世で仕える兵隊として、一緒に埋められたりする
ものなのですが。

かなり以前に中国の兵馬俑(へいばよう)が貸し出しをされて、日本で展示
されていたこともありましたね。



この当時、唐の都 長安は、西の都ローマと匹敵するほどの国際都市で、市街
には外国人の姿も珍しくなく、それどころか出世して国政に携わる外国人も
たくさんいたのだとか。

現代でも、そこまで開かれた国はなかなかないですよね。

遣唐使として入唐して以来、ついに日本へ帰ることが叶わなかった安倍仲麻呂
(あべのなかまろ)などもそのひとりで、唐の国で役職を得て重く用いられて
いたようですね。


橘逸勢が、長安の街を空海と歩きながら、
「長安に比べれば、京の都など鄙(ひな)のごときもの」
と嘆息する場面があります。

日本では、橘秀才(きっしゅうさい)と呼ばれていたほど頭の良い橘逸勢でも、
長安では萎縮して能力を発揮できず、しきりと故郷を恋しがっていたのに比べ、
空海はむしろ唐の国が肌に合っているのでは、と人に言われるくらいのびのび
としています(*^_^*)

唐人と間違われるほどに唐語は堪能で、梵語、つまり古代インドで使われて
いたサンスクリット語までできたというのだから、すごいですよね。

史実でも、空海は密教を学ぶために入唐しているのですが、そのためには
このふたつの言語ははずせないものだったようです。


そんな空海が橘逸勢とコンビで謎を解いていくさまは、同じく夢枕獏の作品で
ある『陰陽師』の、安倍晴明と源博雅の二人を彷彿とさせるものがありました

そして、空海たちが行きついた最大の謎は、楊貴妃の死にまつわる秘密だった
のですね。



この作品のおもしろさについては、著者自身が、あとがきで自画自賛の文章を
書いているので、それを載せてみます。


ああ、なんという ど傑作を書いてしまったのだろう。
いや、もう、たまりません。
ごめんなさい。
どうぞご勘弁。
自画自賛、させていただきたい。
どうだ。
ついに書いちゃった。
凄い話だぞ。
物語に力がある。
物語の根源的な場所からこんこんと溢れ出てくる力だ。
読めば、どすんどすんと地響きをたてて、物語が向こうから迫ってくる。
なんと嬉しく、なんと心ときめく地響きであろうか。
こんな話を読みたかった。


いやあ、爆笑しました

ここまで臆面もなく自賛するヒトも珍しいと思いますが(^^ゞ

でも、ちゃんと史実に基づいているため空海がとても力強く肉厚に書かれて
いるし、とてもおもしろくて読みごたえがありました(*^_^*)


この作品、なんと書き終わるまでに17年の歳月がかかっているのだとか。

また、それだけの歳月をかけただけある作品に仕上がっていると思います


空海については、その生涯について書かれたものなどもこれから機会があれば
読んでみたいと思っています。


まずは、もういちど例のお寺に行って空海の像を拝み、その横に建てられて
いた記念碑の文章をよく読んで来ることにします




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この記事へのコメント

2011年01月11日 20:20
こんばんは^^
私も本が好きなんですが(推理小説とファンタジー系)最近、読んでないですね・・><
読む本が溜まってます^^;
キーブー
2011年01月11日 22:59
ぶひさん、こんばんは
ファンタジー系がお好きなら、これもけっこうイケるのではないでしょうか。
私も、暮れに図書館から借りてきた本がまだ山積みだし、好きなシリーズの新刊が出ていたのでそれも買ってしまったし。読む本が溜まってますね~(^^ゞ
2011年01月11日 23:30
夢枕獏さんですか、読みたいですね。。。この頃、読めてなかったので、体調回復するまで、ゆっくり本を読もうかな?と思ってます(^_^)
2011年01月11日 23:57
こんばんは。
夢枕さんの作品も未読なので是非読んでみたいと思います!
あとがきオモシロいですね(笑)。
2011年01月12日 07:42
全四巻でしたね。(^^ゞ
空海は語学の天才だったようで、日本にいるころからすでに唐語を話せたというし、たいていの人が、唐に渡って、10年、20年かかる修行を2年で終え、密教の高位に就いて日本に帰国したんですけど、まったく無名の空海が、遣唐使の一員に選ばれたのも謎で、夢枕漠さんが、ファンタジー小説の題材にしたのもわかりますね。
唐に渡って半年目に高位を貰い、師にあたる僧が60歳で亡くなると、全弟子を代表して、碑文を起草しているんですよね。
俗人としては信じられない話ですが、よほどの天才だったのでしょうね。
ただチャン
2011年01月12日 08:21
おはようございます。
夢枕漠さんは読んだ事がありません(^^ゞ
いつもながら上手い解説!面白そうです(^O^)

今読み掛けのが終わったら探してみよっと。
2011年01月12日 09:09
にょ~~ 面白そうだね♪
私の場合さ 探さないっけ縁があたら読めるね^^
自画自賛の解説ってのが素敵過ぎるわぁ^m^
なおみん
2011年01月12日 20:27
この自画自賛っぷりがいいです!
「物語の根源的な場所からこんこんと溢れ出てくる力」って言うの、なんとなくわかるような?
17年の大作。それもすごいと…
キーブー
2011年01月12日 20:46
たかじいさん、こんばんは
夢枕獏のこの作品もですが、「陰陽師」も、文章が短くて読みやすいので、養生期に読むにはもってこいだと思います
お大事に。。。
キーブー
2011年01月12日 20:48
kemochimeさん、こんばんは
私も夢枕獏は、そんなに種類を読んでるわけではないのですが。
「陰陽師」は、おもしろいので出るたびに必ず読んでます
あとがき、いっそあっぱれですよね(^O^)
キーブー
2011年01月12日 20:59
ねこのひげさん、こんばんは
そうですよね、2年で終えて、しかもちゃんとその時期にまた日本から船が来るというのがすごいです。その船が結局は最終の遣唐使船だったのだとか。一歩間違えれば帰国できないところですよね。実力だけではなく、運もお持ちだったんですね
恵果の弟子はたくさんいて、しかもみんな長年仕えてきたというのに、空海が代表だったんですよね。ホント、すごいことだと思います。
あと、壁に王義之が書いた文章が唐にあって、誰もがその横に書くのを尻込みしたというのに、勧められると堂々と文章を書いたとか。度胸も座ってたんですね。
知れば知るほど、興味が湧いてきます。今、空海は私の中で静かなマイブームです(笑)
キーブー
2011年01月12日 21:01
ただチャンさん、こんばんは
いつもながらお褒めいただき、ありがとうございます。励みになります(*^_^*)
夢枕獏、けっこう読みやすくておもしろいですよ。お勧めです。
キーブー
2011年01月12日 21:39
まるおおさん、こんばんは
これ、おもしろいよ~♪
自画自賛のあとがき、ほんとに爆笑ものだよね。
でも、掛け値なしにこのとおりだと思うんだよね。読みごたえのある作品だったわ~(*^_^*)
キーブー
2011年01月12日 21:43
なおみんさん、こんばんは
ホント、読めばどすんどすんと地響きをたてて物語が向こうから迫ってくる、っていう、そのまんまな読みごたえでした♪
17年って、すごいですよね。よく途中で挫折しなかったもんだなあと思います。
2011年01月12日 21:53
 夢枕獏の得意とするジャンルの小説なんでしょうね。面白そうです。
 遣唐使の時代、危険を冒して中国に渡っていくのは大変だったと思います。今の若者にもそういう人たちがいれば、ずいぶん日本も違ってきそうな気がするんですけどね(^^ゞ。
 実は、夢枕獏の小説は読んだことがありません。写真集とか釣りのエッセイは読んだことがありますが(^^ゞ。
キーブー
2011年01月12日 23:14
遊哉さん、こんばんは
このときの遣唐使船も4隻で、無事に唐までたどりついたのは2隻だけだったとか
命をかけて学びに行ったんですよね。すごい覚悟だと思いました。
私は遊哉さんとは反対で、夢枕獏のエッセイは1冊しか読んだことがないですね。あまり興味のない分野の話だったような覚えがありますが。。。
でもこの作品、きっと遊哉さんのお好みだと思います
2011年01月13日 16:08
キーブーさんの解説を読んでいると
毎度読みたくなります。さすがだなあ。
この方の本は一冊も読んだことがありません。
私も図書館から次々にリクエストしていた本が
来ていて、映画も観たいし読書もしたいしで
眼を酷使しています。
キーブー
2011年01月13日 19:35
みいなさん、こんばんは
みいなさんにも褒めていただいちゃって、ホント励みになります。嬉しいなあ(*^_^*)
そうそう、オッド・トーマス、新刊が出てましたよ。「オッド・トーマスの予知夢」ってヤツ。
私も図書館本がまだ積んであるというのに(しかも、そろそろ期限切れ)、我慢しきれず買ってしまいました。スカーペッタのシリーズも新刊が出てたし・・・ノルマばっかり増えていく~
2011年01月14日 15:44
わお、偶然にも今、夢枕獏の「ものいふ髑髏」読んでますよ。最近は電車に乗ると眠くなってしまうので中々読み進まないけど(笑)シンクロだ(爆)
キーブー
2011年01月14日 19:50
miyoさん、こんばんは
「ものいふ髑髏」、図書館の棚で見かけました。miyoさんが読んでおられるなら、私も読んでみようかな♪
それにしても、この作品を読み始めてからシンクロばかり。もう、空海さんたら~(笑)
2011年01月15日 10:38
夢枕さんの作品はどれも分厚くて怖そうな雰囲気ですね。
日本の妖怪ものはかえって身近に思えてこわいですね。(^^;
夏にチャレンジします。
キーブー
2011年01月15日 17:25
moumou.h53さん、こんばんは
夢枕獏の作品って、たしかに妖異や奇怪なエピソードが多いですが、それも怖いとかおどろおどろしいとかいうよりは、とてもおもしろくてワクワクする感じです
外出する機会の減る冬のほうが、かえって読みごろではないでしょうか(*^_^*)

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