「大統領たちが恐れた男」




ここ数日、めっきり涼しくなりましたね(^^)

こうなってみると、まるで地獄の釜の中にいたような酷暑も、嘘だったような
気もしますが(笑)


あの暑かった日々、数日かけて読んでいた本がこれ。

「大統領たちが恐れた男 FBI長官フーヴァーの秘密の生涯」

著者は、BBC放送で数々のドキュメンタリー番組を作成したキャリアを持つ、
アンソニー・サマーズという報道記者。

ケネディやマリリン・モンローについての著書もあります。



私が好きなジャンルの小説や映画では、CIAやFBIがよく出てくるのですが(笑)

それで興味があって、この本も手にしてみました

J・エドガー・フーヴァー。

今さら、紹介するまでもない、有名なFBI長官ですね。

画像



同性愛者であり、服装倒錯者(平たく言えば女装趣味ですね)であったという
噂もありますが、本書では、これらはすべて事実であると書かれていました。

77歳で亡くなるまで現役長官としてその職にとどまり、歴代8人の大統領に
仕えたという、フーヴァー長官。


俗にいう「フーヴァー・ファイル」なるものを多数作成し、政治家から民間人に
いたるまで、膨大な人々の私生活の弱みを掴んでいたといわれていますね。

ジョンソン大統領は、自分が上院議員だった頃の電話を盗聴したのかどうか、
しつこいくらい何度もフーヴァーに尋ねたと言われているし、ケネディ大統領に
至っては、若いころからの女性関係をしっかり把握されてしまっていたそうな。

これって・・・ナチス・ドイツにおける、ゲシュタポ(秘密国家警察)と同じじゃ
ないか、と思ってしまった私(;一_一)


フーヴァーを更迭すべきだ、と閣僚に迫られたジョンソン大統領は、
「スカンクがそばにいたら、テントの中に入れて外に向かって屁をさせるほうが、
テントの外に追い出して、中へ向かってされるよりマシだ」
と答え、フーヴァーを留任させたのだそう。

いやはやまったく、たいへんな人物ですね


でもこのヒト、切れ者であったことは確かなようで、のちにニクソン大統領がCIA
を重用し始めて、FBIとの間に距離を置いたとき、
「大統領は耳を貸す相手を間違っている。いずれあの連中は、大統領を
とんでもない騒動に巻き込むぞ」
と、ウォーターゲート事件の発生を予言したかのような発言をしています。

味方にしていても何かと面倒だし、そうかと言って敵に回したら最後という、
厄介な人物ですね(@_@)


FBIとCIAとの確執は有名ですが、この関係はフーヴァー長官のときにCIAが
発足したそのときからすでに始まっているのですね。

CIAが作られたことに激怒したフーヴァー長官は、部下にCIA局員と口をきく
ことさえ禁じ、書類や情報の類を一切、渡さなかったのだとか。

彼のこのような狭量さは対外的な部分だけではなく、部下に対しても同じで、
気に入らない者はあちこちに飛ばしたり、あっさり首を切ったりしていますが。

部下が気に入らない結婚をしようとした場合は、長官自らの指示で、裏から
手を回していろいろにその結婚を妨害しようとした、などというのを読んだときは、
ホンマかいな、と思ってしまいましたが(~_~;)


フーヴァーは、クライド・トールソンというFBI局員と生涯を通じて夫婦同然で
あったと言われていて、昼食は毎日、同じホテルのグリルで彼とふたりで
摂っています。

そして、ふたりで出かける休暇で利用するホテルおよび施設などの費用は、
マフィアと繋がりのある富豪が負担していた、などという話もあったり。

“ヤツは身銭を切らない”などと囁かれてもいたとか。

それなら、彼が得ていた高給はどう使われていたのかと言うと。

競馬などのギャンブルに、一度に驚くような大金を賭けていたというのだから
恐れ入りますね。

よくもまあ、こんないかがわしい人物が長らく長官の地位に就けたものだと
呆れますが。

この当時のアメリカは、自由大国というのは名ばかりで、左寄りの思想を持つ
人は議員から無辜の民にいたるまでFBIに私生活を監視され、電話を盗聴
されていたのですね。

その被害者の中には、公民権運動の指導者、マーティン・ルーサー・キング
牧師や、女優のジェーン・フォンダの名までがあげられています。


のちにフーヴァー長官が亡くなったとき、育児書で知られる有名な小児科医で
ベトナム戦争に反対する活動家としても知られていたスポック博士は、
「彼の死を知って大いに安堵しているが、民主制度とアメリカ流手順への理解
が深い人物が後任者ならば、いっそう安心できる」
というコメントを発表していますね(~_~;)



また、本書の中では、彼の病的とまで言える性格の偏りについて、あるナチス
高官との、生い立ちの類似点を述べていますが。

いわく、強い母親と弱者の父親のもとで育ったということ。

フーヴァーの父は精神疾患を患い、父亡き後は、生涯独身だったフーヴァーが
気の強い母親とふたりで暮らしています。

その母親にひとかたならぬ期待をされ、成人してからも“鼻面を引き回されて”
いたこと。

それらが彼の性格や性向に歪みをもたらした、というのですが。

最初は正義感に燃える警官としてスタートしたものの、マフィアに同性愛の
証拠写真を握られてしまい、弱腰になってしまったことで深い挫折感と劣等感
を抱えることになり、それを他人に転嫁して、攻撃・脅迫をすることで自分の力
の確認をしていたのかもしれませんね。


でも、彼が長官職についていたこの時期は、第2次大戦後の米・ソ冷戦時代で、
両国の間は一触即発であり、政治の舵取りも薄氷を踏むような時期だったはず。

そんな重要な時期に、警察の上に君臨するFBIが個人の権力主義の道具と
して使われ、愚にもつかない私生活の云々が記されたファイルが政治家たちの
命運を握っていたなんて。



昨今の日本の、大災害を経験して復興に一番力を注がねばならない時期に、
党員資格も危ういような一議員の顔色を窺いながら権力闘争をしている、
今の政治と重なる部分がありますよね。

政治家はともかく、警察官になる人は、人並み外れて正義感があって犠牲心の
旺盛な、背筋がすっと伸びたような人物であってほしいと願うのは、叶わぬこと
なのでしょうかね。


この本に書かれていることがすべて本当だとしたら。

同性愛者であろうが、アフター5に女装クラブに通おうが、余人の知ったこと
ではありませんが。

マフィアの勢力が隆盛だったあの時期に、
「マフィアなんて組織は存在しない」
などという世迷言を言って捜査を骨抜きにしようとしたのは、警察官として
許されることではないと思います。

その上に、しょうもないファイルをかざして、政治を左右しようとしたこと。

この点は、言いわけのしようのない悪行でしょうね。


それにしても。

一体全体、なんだってこんなヒトがアメリカ警察の頂点にいたのか。

ホント、謎だ。。。。







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この記事へのコメント

2011年08月23日 06:24
今朝は雷光とゲリラ豪雨で目が覚めましたよ。

アメリカでは同性愛者に対する差別は酷いですからね。日本だと割りと慣用ですけどね。
南部などは、男2人で旅行しているとものすごい顔で見られるし、『イージーライダー』のラストのように本当に拳銃で撃たれた人もいます。
あの時代なら、ばれたら政治生命どころか人生は終わりです。

ねこのひげは、美女がよいですが・・・・(^^♪

最近、ディカプリオはこんな重い作品に出ることが多いようですね。
演技派を目指しているというかなったんでしょうね。
美男というだけでは持ちませんからね。
美少年も36歳ですからね。(^_^;)
2011年08月23日 11:14
あらら~~ これまたクセのある~~
いや~~ でも女装したトコ見たいな~~

2段編成… う~~ん。。。 図書館で縁があればだな(^^ゞ
ただチャン
2011年08月23日 17:04
こんにちは
これが噂のフーブァー長官(^-^;
面白そうですね!
トップ就任する時も裏技使ったのかもですねf(^_^;
キーブー
2011年08月23日 18:37
ねこのひげさん、こんばんは
雷光とゲリラ豪雨ですか~
今日の昼間、兵庫県も大雨・洪水警報が出たり引っ込んだりしてましたが(~_~;)
局地的な雨、なんとかならないもんでしょうかねえ

アメリカ南部って、偏見が強いんでしょうか?人種差別もありますよね
同性愛者は撃たれちゃいますか
日本では、目惹き袖引きはされるけど、害を加えられたりはまずないですもんね。おっそろしいなあ(~_~;)

ディカプリオ、作品にも恵まれ、うまく脱皮できましたよね。彼が演じるエドガー、とても楽しみです♪
あと、クライド・トールソンを誰がやるのか・・・ラブシーンもあるそうですね。ぜひ観に行かなくちゃ
キーブー
2011年08月23日 18:43
まるおおさん、こんばんは
彼の女装姿を見たことあるって、マフィアの大物の元妻が証言してるんだけど。
すんごい醜女だったんだって。まあ報告してもらうまでもなく、想像はつくけどね(笑)

この本、分厚い上に活字は2段組み。加えて、あの暑さ
しかるに内容も、汚職に脅迫、気に入らない部下いじめに職権濫用。暑苦しいったらもう(~_~;)
FBIの鑑識課に、自宅のペンキの塗り替えをさせてたんだってよ。読んでて笑っちゃったよ(@_@)
キーブー
2011年08月23日 18:47
ただチャンさん、こんばんは
喉の痛みは、あれからいかがですか?濡れちゃって、風邪をひきこんだのかもしれませんね。お大事に。

そう、これが噂のフーヴァー長官です
どの大統領も、彼を嫌っていたにもかかわらず、更迭できなかったんですよね。
就任時の裏技ですか~。どうでしょうね?それについては特に何も書かれてなかったですが。
でも、自宅の庭に動物の糞が落ちていたときは怒り狂って掃除させ、その糞がどの動物のものかを、翌日の朝イチにFBIの鑑識課で調べさせたのだとか。。。
2011年08月25日 00:37
でも、意外とそういう人が上に君臨するというケース、見ますからね。。。怒り、脅し、追い込み、そして味方への溺愛、、、規模は違いますが、見かけるケースありますね(^_^;
でも、延々とこのように言われ続けるのは、彼は今、報いを受けているのかも知れませんね。
キーブー
2011年08月25日 18:12
たかじいさん、こんばんは
お忙しいなか、長文を読んでいただき、ありがとうございました(^^ゞ
こういう質の上司って、わりといそうな気もしますが・・・長官って、トップですもんね。トップまでのぼり詰める人は、それなりの仁徳のある人であってほしいですよね(~_~;)
彼、死後にこんな本がたくさん出ているのを知ったら、きっとものすごく怒ってるんだろうなあ。ちょっと怖い気もしますね(^^ゞ

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