「エージェント6」
こないだうちから熱中して読んでいた本が、読了しました

トム・ロブ・スミス著 「エージェント6」上・下
この作品の前作にあたる「グラーグ57」は、「日本に生まれて、よかったなあ
(~_~;)」という記事で紹介しましたが。
今回は、その完結編ということになります。
おなじみレオとライーサ夫婦は、数々の苦難を乗り越え、養女のゾーヤと
エレナも無事に手元に取り戻し、親子4人でモスクワで平和に暮らしています。
レオは秘密警察の仕事を固辞し、今は工場長をしているのですが。
エリートではなく一般人となったために、一家の住んでいる集合住宅は
かつての特権階級のものではなく、エレベーターなしの13階!だったり
するのですが(~_~;)
一家にとってそんなことは、家族みんなで平和で暮らせるのなら苦難のうち
にも入らないのですね。
そんななか、教師をしていたライーサは、米ソ友好のための少年少女による
コンサートに出演する子どもたちを率いて、ニューヨークまで行くことになる
のですが。
エレナとゾーヤもメンバーに入っていたそのコンサートで惨事が起き、ひとり
モスクワに残っていたレオは絶望の淵に落とされることになります。。。
いやはや、いやはや。
もうお願いだから、レオとライーサを静かに暮らさせてあげてよ、と言いたく
なりますが。
このふたりには、どこまでも苦難がつきまとうのですね。
それでも、「チャイルド44」や「グラーグ57」では、ふたりで力を合わせて
その困難に立ち向かっていたのですが。
今回は、レオがひとりで奮闘することになります。
彼の望みは、惨劇のあったニューヨークまでどうにかして行って、真実を
探ること。
でもそれが叶ったのは、なんと15年後

下巻の半ばあたりのことでした。
しかもそれまでに、レオはアヘンに溺れ、心身ともにボロボロになっているし。
読んでいるあいだ、ずっと心が痛みました。
そこまで頑張った挙句のラストは・・・真実はわかったけれども、それで救われ
るものでもなく、結局は何も変わることなく終わるのですが。
それでも、ラストには少しだけ、光が見えました

それにしても、この夫婦。
レオとライーサは、苦難はたくさんあったけど、でも幸せな夫婦だなあと
思いました。
ここまで深く結びついた夫婦って、なかなかいないんじゃないかなあ。
上巻では、このふたりのそもそもの慣れ染めが初めて明かされていましたが。
そこにも、共産主義国の暗い弾圧の影が落ちていましたね(~_~;)
でもまあそれだからこそ、ふたりの心の結びつきも強くなったのかも
しれませんが。
このふたりとは対照的な夫婦も出てきます。
あるCIAエージェントとその妻なのですが。
この夫婦の索漠とした生活の有りようが、なおさらレオとライーサ夫婦の情愛
の深さを際立たせていましたね。
久しぶりに、重厚で感動に値する作品を読んだなあという感じ(*^_^*)
この作品、今年の私のイチ押しかも・・・って、まだあとふた月ありますけどね^^;
この記事へのコメント
それでも、夫婦や家族の心のつながりがある、というところが救われるような気がします。
この三部作は、傑作だと思います(~_~)。
それにしても、日本に生まれて、よかったですね(^^ゞ。
次から次から、よくもまあこんなに困ったことが起きるものだと(笑)
エレナとゾーヤは、私としては正直あんまり好きじゃなかったなあ。あの二人はほんとにレオとライーサの深い愛情をわかってたのかなあ、なんて思っていましたが。まあそれもラストで答えが出た感じですよね。
ホント、傑作ですよね。ぜひ映画化してもらいたいし。
それにしても、共産圏で生まれなくて、ほんとうによかったです(^^ゞ
いつもながら・・読んだ気になちゃいました^^
ウ~ン今読んでる作家さんを読み終えたら・・
でも暗い奴はどうも^^;
暗いっていうのともちょっと違うのですが。
でもまあ、重厚な感じかなあ。
お読みになるなら「チャイルド44」からどうぞ。きっと夢中になられると思います♪
(;´д`)トホホ
グラーグ57もこちらの本も図書館になかったので本屋さんに走りました。
日本に生まれてというか、今の時代に生まれてよかったな。
会ったことない父ですが、出征前はいわゆる「アカ」で、シベリアで捕虜生活を送り、戻ったときには、ソ連大嫌い、アカ大嫌いと言っていたらしいです。
うんうん分かる。。
お忙しいなか、連投コメントありがとうございました(*^_^*)
あら、まだ読んでおられませんでしたか。meimeiさんはもうお読みでしたよね。
meimeiさんの感想もお聞きしてみたいなあ♪
ほんとうに、すごい家族ですよね。夫婦の結びつきがことに強くて
今作でもそれを発揮してほしかったのですが・・・なかなかつらい展開でしたね(>_<)
ラストは悲しいなりに光が感じられましたが。
でももうレオは全力を使い果たしたという感じでした。
映画化されたらぜひ観に行きたいです。
Fチェスカさんは今、読んでおられるところなのですね。だったらネタばれしないように気を付けようっと(^^ゞ
どこらへんまで読まれたのかなあ。
レオが湖で緩慢な自殺のまねごとをするところ・・・あのシーンはとても悲しくて、本物の孤独の凄まじさを感じました。
お父さま、共産主義から転向されたんですね。
よほど酷い目に遭われたんですね(>_<)
たしかに、この本を読んだあとではわかる気がします。
せめて降りる時用に滑り台が欲しいです(T_T)
滑り台!(^◇^)
いいねえ。降りるときだけでもラクだとありがたいもんね
でもそれ、クレムリンに申請するのってすごい勇気がいりそう。確実にブラックリストに載るだろうし(笑)