名作の主人公は、みんなビョーキ?!




ここ数日の関西地方は、6月とは思えぬ異常な暑さ


15日はこぶた2号の誕生日だったのですが。

「自分の誕生日に、こんなに暑くてたまらんって思ったことなかったけどなあ。
ほんま、異常気象やな」
としきりにぼやいていたこぶた2号(~_~;)

同感でありますね。


窓の外では、うぐいすが優雅に鳴いているのにこの暑さ。
雨も降らないし。

いったい今の季節はいつなのか

汗を拭きつつ、「ホーホケキョ」を聴いていると、ちょっとアタマがこんがらがり
そうな気分なのでした(~_~;)




さて。

そんななか、見つけたのがこの本。

新聞のブックレビュー欄で見かけ、面白そうだなと思って図書館で予約
しといたんですよね


岩波明著 『精神科医が読み解く 名作の中の病』


古今東西の話題になった本を、登場人物の精神状態にスポットライトを
当てて精神科医が解説をするという趣旨なのですが。

取り上げられた作品がベストセラーから近々のものに至るまで多彩で、
とても面白かったです。


目次を見て、目についたものだけでもざっとこんな感じ。


〈美しい狂気〉  村上春樹 『ノルウェイの森』

〈自閉症とは何か〉  リアノー・フライシャー 『レインマン』

〈GIDというミステリー〉  東野圭吾 『片想い』

〈PTSDのヒロイン〉  沼田まほかる 『九月が永遠に続けば』

〈非定型精神病〉  高村薫 『マークスの山』

〈アスペルガー症候群〉  スティーグ・ラーソン 『ミレニアム』

〈拘禁反応〉  スティーブン・キング 『シャイニング』



ノルウェイの森は、私も以前読んだことがあります。

主人公の恋人である直子がいきなり姿を消して、人里離れた山奥のサナト
リウムで療養生活をしているというところで、彼女の病気というのは要するに
思春期にありがちな神経衰弱のたぐいであろうと推察していたのですが。

著者の診立ては、統合失調症でありました。

ふーむ。

私が考えていたのより、はるかに深刻な状況だったのだなあ(~_~;)


この病は、初期は知覚が鋭敏になり、情動面で繊細になるため、芸術的な
感性と通じる側面があるのだそうですが。

それはごく短期間で、慢性期に入るとむしろ反応は鈍くなり、精神的にも
生活じたいも弛緩してしまうのだとか。

ヒロインの直子は、そこに至るまでに自ら命を絶つわけですね。


ちなみに。

著者は、直子以外にも数人が自殺する深刻な内容であるにもかかわらず、
この作品に強い魅力とともに救いが存在するのは、「森」や「水」、あるいは
「青々とした草原」などの豊かな自然のイメージが溢れているからだろう、と
述べていました。

なるほどですね。



こんな感じで、ほかの作品についても、主人公の行動からその精神的病理
を読み取り、診断したうえで、作品全体について解説しています。


私がちょっと驚いたのが、スティーブン・レベンクロンの『鏡の中の少女』に
ついて書かれた部分。

この本、私は読んだことが無いのですが、拒食症に罹った少女が主人公
なのですね。


臨床の現場から見ていると、患者はこの病気を治したいと思っているどころ
か、摂食障害というゲームを楽しんですらいるように感じられることがあるの
だそう。


そもそも、命の危険があるほどに痩せているというのに、本人に病気の自覚
がない、というのはよくいわれているところですが。

この作品の主人公フランチェスカも、スタイルを気にしたダイエットから足を
踏み込んでしまい、抜け出せなくなってしまうのですね。


拒食症の患者というのは、しまいには食べようと思っても食べられなくなって
しまうのですが。

だから患者に食欲がないかというとそうではなく、むしろいつも食物のことを
考えているのだそう。


出された食事はとらなくても、スーパーやコンビニで安価な菓子類を万引き
したり、あまつさえ入院中に他の患者の食べ物を盗食したりなどといった
行動も観られるのだそうで。

聞けば聞くほど、心の闇の深さを思い知らされますね(~_~;)



精神の病というと、どうしても重い内容になりがちですが。

著者の語り口がさらっとしているせいか、読後感はむしろ爽やかで、
いろいろと新しい知識を得られたせいか脳に涼しい風が吹き抜けている
ような感じすらしました。


このところの西日本の35度やら37度やらの気温で、もうすでに夏バテ状態
の私ですが。

この作品、一服の清涼剤となりました(*^_^*)



精神科医が読み解く名作の中の病
新潮社
岩波 明

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この記事へのコメント

2013年06月17日 01:39
あ~~ たまにこれは病気だろう!って主人公居るよね~~
精神科医なら気になってしょうがなかったであろうさ~~

やっぱ関西暑いのねぇ~~
冷やし素麺ふぁいつ♪
ひまわり
2013年06月17日 02:31
関西は気温高かったですね。
まだ6月なのに…
こちらも蒸し暑くてじっとりです。

この本は興味深いですね。
シャイニング、怖かったけど拘禁反応なんて
初めて聞きました。
2013年06月17日 02:43
西日本は、真夏のような暑さのようですね。
関東は、本格的な梅雨状態です。

おもしろい本を見つけましたね。
読んでみたくなったので探してみます。
2013年06月17日 14:15
名作の中の主人公って、精神を病んでいること多いですよね。それを分析した本は興味深いです。※精神科医って、ピンからキリまでいるようですね。 いいお医者さんに当たればいいけど・・・
キーブー
2013年06月17日 17:34
まるおおさん、こんばんは
著者に言わせると、文学作品の登場人物にはしっかりと診断の付く病人が多いのだそうで^^;

あれれ!まるおおさん、千里眼?!
ここしばらくの間、私は素麺を4束ずつ茹でては、数日かけてそれを消化するとする毎日を送っておるのだよ(笑)
食欲のない日、具合の悪い日はホント素麺にかぎりますな(^O^)
キーブー
2013年06月17日 17:43
ひまわりさん、こんばんは
いつまでも寒い日が続くね~、なんて言ってたのはついこないだなのに・・・いきなりの猛暑日。そりゃ体がついていかないですよね(~_~;)

拘禁反応というのは、よく知られているのが刑務所に収監されている人たちに起こる症状。
収監されてしばらくすると、人によってはストレスで幻覚・幻聴などの症状がみられるのだそう。
「シャイニング」も、雪に閉ざされたリゾートホテルの管理人という孤独な仕事をする傍ら、小説を書くというお父さんがおかしくなる話でしたが。
著者に言わせると、クマの形に刈り込んが植木が襲ってくるというシーン、あれなどは典型的な拘禁反応における幻覚なのだそうで。
まあ、精神的に追い詰められていたのだし、それもあるだろうけど・・・それだけじゃないんだよね~、なんて思いつつ読んでおりました(笑)
キーブー
2013年06月17日 17:47
ねこのひげさん、こんばんは
こちらはもう夏本番。連日の猛暑日です
体がまだ夏仕様になっていなかったので、ホントしんどいです。マジでこの夏は大変そう。。。

この本、面白そうでしょう?
新聞のブックレビュー欄で見つけて、すぐに予約しましたが、読んでみて正解でありました(*^_^*)
キーブー
2013年06月17日 17:52
ぬえさん、こんばんは
「このヒト、おかしいんじゃないの?」なんて思いつつ読んでたりすることがありますよね。古典的な名作に特に多いような。。。
精神科医は、かかったことがないのでよくわかりませんが、ミステリーなどでは殺人犯の治療に当たっているうちに引っ張られておかしくなっちゃう医者とか、あまつさえ実は犯人だった、なんてのまでありますよね(笑)
毎日毎日、病んでる人の話を聞くのって、相当大変そう。。。
2013年06月18日 01:24
> 沼田まほかる 『九月が永遠に続けば』
9月って、まだ暑いわよね。
年々、過ごす易い、春と秋がミジンくなっていますよね。
私、また図書館で借りた本どこかに置き忘れたかも。。。
キーブー
2013年06月18日 18:32
もうヘトヘトさん、こんにちは
ホントホント。9月が永遠に続けば・・・死んじゃいますよね(笑)
そうなんですよね。私の大好きな春と秋が極端に短くなってしまって、一年の半分近くが夏になってしまった感じ(~_~;)
あらら。図書館の本、また行方不明ですか~
こないだは、コートのポケットにあったんでしたっけ?
今回は・・・たまに使うバッグの中など、確認されましたか?(^^ゞ

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