ホラー作家は、エッセイも面白いですね(^O^)




図書館で、またまた面白い本を見つけました


貴志祐介著 『極悪鳥になる夢を見る』


貴志祐介といえば、『黒い家』 や 『悪の教典』 他、数々の名ホラー作品を
上梓されていますが。

『悪の教典』 は、伊藤英明 主演で 映画化もされてますよね。

担任の生徒を殺しまくる先生が、鬼気迫っていて とても怖かったです(~_~;)



私が著者を知ったきっかけは、ここへもよくコメントを下さる ひまわりさんが
『黒い家』 を勧めて下さったからなのですが


この作品は、保険会社に勤める主人公が、ある保険金請求の文書に疑問
を持ったのがきっかけで恐ろしい目に遭う、といった話でしたが。

これ、じつは著者の実体験というか (もちろん殺人事件に巻き込まれたりは
していませんが 笑) 、著者自身が保険会社に勤務したことがあったのですね。


今回、エッセイのなかで、当時扱った案件で 今でも心に引っ掛かっている
自殺の件について書かれていました。


ある寝たきりの老婆が、部屋にあったタンスの環 (かん。引手のこと) に
紐を かけて縊死した、という事例。


警察の調べでも事件性は ないということで、埋葬許可証も ちゃんと出ていた
のだそうですが。

でも、そこそこ高さのあるタンスの、一番上の段に紐をかけて自殺したという
そのおばあさんの身長は、140㎝台だったのだそうで。


これだと、寝たままでは まず無理で、少なくとも膝立ちか、もしくはちゃんと
立ち上がらないと手が届かないはず。

そのことを考えると、いまだに寒気を覚えるのだそう。


事実は、小説よりも奇なり、とは昔から言いますが。

完全犯罪って、案外多いのかもしれませんね(~_~;)



それと、もうひとつ驚いた話があったのですが。


10年ほど前、『日本ホラー大賞』 への応募を続けていた著者は、なにか
参考になればと、当時、飛び降り自殺が相次いでいた団地に 取材に行った
のだそうですが。


一歩踏み込むなり、なんともいえない冷気と いやな感じを受け、ここには
絶対に住みたくない、と思ったのだとか。

それでも勇気を奮ってエレベーターに乗り込み、最上階で降りたのですが。

最上階の廊下は、もちろんかなりの高さがあって、すごい絶景^^;

で、その開口部には、太い鉄格子が嵌っていたのだそう。


鉄格子は、腰の位置から2mくらいの高さまであり、上の方には ほんの
少しの隙間しか なかったのだそうですが。

まさか、そんな高い位置の、それも狭い場所を ぬけて飛び降りる物好きは
いないだろうと思われるのに、そこには別の金網が 取り付けられていたの
ですね。

鉄格子は躯体に埋め込まれていたのですが、その金網は鉄格子に針金で
結びつけられていたのだとか。


それを見て、著者はなぜか興味を惹かれ、金網の状態を 近くから見たい
と思ったのですが。

そんなところを よじ登ったりして住人に見とがめられたりしたら、誤解をうけて
厄介なことになるかも しれないのだけど。

ここに来るまでに住人の誰とも会わなかったこともあり、すべては作家デビュー
のためだと自分に言い聞かせて、鉄格子を登ったのだそう^^;



金網が取り付けられた開口部は、やはり、かろうじて人が通り抜けられる
くらいのサイズしかなく、数カ所を太い針金で鉄格子に留められており、
余った部分の針金は ねじり合わされ、きちんと寝かされていたのですが。

ある部分を見たとき、背筋に寒気が走ったのだそうで。

余りの針金が起こされて、数センチだけ、中途半端な形に縒りを解かれて
いたのだそう。


これらを考えてみるに。

場所も高いし、針金が太くて頑丈なため、子どもの いたずらとは考えにくい。

いい年をした大人の しわざとしても、意図が不明である。


それだけではなくて、そもそも この金網が取り付けられた理由じたい、不可解
なのでありますね。


飛び降り自殺が可能な建物は ほかにもあるというのに、わざわざこんな隙間
から抜け出ようとした人間が いたというのか


エレベーターで1階まで降り、外へ出た著者は、暑い時期だったにも かかわ
らず、なぜかまったく暑さを感じなかったのだそう

そして、その日以来、一度もその団地には行っていないし、二度と近づきたく
ないとすら思っているんだとか。


どこの団地なんでしょうね。

ちょっと、見てみたい気もします。足を踏み込むのはイヤだけど(笑)



こういったホラーがらみの話だけではなく。

著者は SFにも造詣が深い、理系の人でも あるんですよね。


虫は緑色のものが多いのに、なんで動物には緑色のものがいないのか、
という疑問には、思わず膝を打った私

ジャングルに住むのなら 緑色の方が保護色になるだろうし、それを考えれば、
よく兵士が着ているような迷彩柄の動物が いてもいいはずですよね。

はい。

そんなこと、これまで考えてみたこともなかったけど・・・言われてみれば、
まったくもって、そのとおり。


でも。

これについては、著者が自分自身で解決しておられました(笑)


緑色の生きもの、バッタとかの類は 寿命が短いのにくらべ、哺乳類は
数十年を生きるわけだから、その間、干ばつなどもあるだろうし・・・ふだんは
緑に覆われた森も、たまには枯れ果てた荒れ野になるかもしれないし。

たしかに、土の上では、緑色や迷彩柄の生きものは 死ぬほど目立つで
しょうね(^O^)

ってか、あっさり天敵に見つかって捕食されること間違いなし。

・・・なるほどね、って思った私なのでした(笑)



それだけではなく。


読み進むうちに、自宅が西宮市だという記述があったのにも驚きました

え?え?同じ市内に住んでらっしゃる??

いったいどの辺なんだろうと思っていたら、どうやら甲子園の近く。

ダイエー甲子園店の話など出てきて、俄然 親近感が湧いたんですよね(^O^)


甲子園は、阪神電車の沿線なので、わが家からは少し遠いですが。

でも、阪神の甲子園駅周辺なんて、何度も行ったことがありますし。

ダイエーも、もちろん利用したことがあります。

お惣菜など充実していて、買い物してて楽しいお店なんですよね



ほかにも、十代の頃に留学していたロンドンで、何の予備知識もないままに
観た映画、『エクソシスト』 がものすごく怖かったとか、イギリスで人生初の
差別に遭い、悔しい思いをした話なども、深刻になったり 恨みつらみが述べ
られたりすることもなく、あっさりとユーモラスに綴られておりました



あと、ここ数年、年末に自宅で食べるという スッポンに まつわる話。

これも、すんごく面白くて興味深かったです。


買ったスッポンは、その場で さばいてもらって持ち帰るのだそうですが。

帰宅途中、バラバラになったスッポンが、キューという切ない声で鳴くのだ
そう


そして、鍋にするときは 水から入れていくのですが、問題は、水が温まって
きたとき。

さばいてから少なくとも3時間は経過しているはずのスッポンの首が、なんと
身もだえするのだそうで


それも、熱が加わったことによる物理的・科学的な反応ではなくて、あきらかに
生物としての動きなのだとか


しかも、1匹1匹に個性があり、あるスッポンなど、ゆっくりと水面から頭を
もたげると (とはいっても、首しかないのですが)、著者の方へ頭を巡らせ
ては、じっと見つめたのだそう

そしてその動きを、なんと延々10回以上は 繰り返したのだそうで

著者は思わず合掌し、一心に般若心経を唱えたのだとか^^;


ほかにも、激烈な反応を見せたスッポンがいたのだそうで。

ちょうどパペットマペットの うし君のように大きく口を開け、身体 (といっても
首だけですが) を震わせており、さらに、首の切断面からは、ぷくぷくと気泡
も立ち上がっていたのだそう


弟夫婦を自宅に招待して スッポン鍋をふるまったときに この話をしたら、
心なしか、彼らの箸の進みが鈍くなった気がした、なんて書かれてましたが。

いや、そりゃそうだっちゅーの(~_~;)

私なら、もうひと口も食べられなくなるでしょうね。

っていうか、スッポンじたい食べたことないし・・・とくに進んで食べたいとも
思わないけど^^;



これらの面白エピソードの文章も、ただユーモアがあるだけでなく、知性に
裏打ちされた確かさが感じられました。

これまで読んだ いろんな作家のエッセイのなかでも、群を抜いた秀作だと
思うし、読んでてホント楽しかったのですが。


著者によると、たぶんエッセイは この1冊かぎりになるだろう、とのこと


そんなこと おっしゃらず、もっと書いていただきたいなあと思ったことで
ありました





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この記事へのコメント

2016年09月25日 00:37
面白そうなエッセイですね。私は、この人の作品は「青の炎」しか読んだことがないです。独特の作品で、不思議な感覚になったことを覚えています。それ以来、読んでいないというのは意味があるわけでもないのですが、機会がなかったようです。今度、日本に帰ったら買ってみようと思います。

自殺現場になる団地の話や、すっぽんの話など、ぞぞ~~~っとしますね。
ひまわり
2016年09月25日 16:09
とりあげて頂いてありがとうございます。
どうも秋バテのようです…
キーブーさんは大丈夫ですか?
ホラーは最初、恒川光太郎の「夜市」
を読んでそれからなんですよね。
貴志祐介は独特感があって描写が恐い
ですよね。
スッポンのエピソードさえ恐い~~~
エッセイ、今度読んでみますね。






2016年09月25日 18:00
若い頃にキーブーさんに出会っていたら、
もう少しは本を読むようになっていたかも。
今からでも遅くないですね、また図書館に
行ってみよう。

人間なかなか嘘はつけないって言うし、
完全犯罪なんてないって思ってましたが、
意外と多そうですね。
初犯だと意外と分からない事もあるのかもね。

動物の色も確かに。
何が目立つカナ?って思いましたが、キリンが
目立つ色ですね。
でも、背も高く、足も長いし、首も長い。
上手くできていますね。

団地のも怖い・・・
死ぬ気になれば、どんな事がしてあっても
できますからね。

すっぽん、そりゃぁもう精力剤にもなる
ぐらいですから(^_^;)
キーブー
2016年09月25日 22:14
yu_mama さん、こんばんは
「青の炎」、たしか読んだと思うのだけど・・違う作品だったかなあ^^;
私が読んだのは、記事にした2作品以外は「クリムゾンの迷宮」「雀蜂」などあります。あとは短編集。どれも面白かったけど、「雀蜂」は他と比べてちょっと・・って思ったりもしました。蜂と闘う場面は すんごく興味を惹かれましたが^^;
団地の話なども、べつに怪異に遭ったというわけではないのだけれど・・・でもやっぱり、怖いですよね
近くには、高層住宅も ほかにあるというのに、なぜかそこでばっかり飛び降りがあるというのも不気味だし。
しかも、そんな隙間から降りようとするなんて
なんか、妙な牽引力みたいなものを感じてしまいますよね(~_~;)
キーブー
2016年09月25日 22:20
ひまわりさん、こんばんは
夏の暑さが異常だったうえに、関東地方はまた、気温の下がり方が すごかったですもんね(~_~;)
秋バテですか。大丈夫ですか?
私は、寝込むほどでは ないけれど、どこも痛まない快調な日は なかなか無いです(笑)
でもま、寝込まないで済むのなら、できるだけ日常のペースを崩さずに家事を したりなどして過ごしてます。調子がいいと、ポケゴーをしながらウォーキングしてみたり。
恒川光太郎の「夜市」も、お勧めいただきましたよね。読みましたよ~
イメージだけが強く残って、あまりストーリーは覚えてないけど・・・弟を夜市で売ったというエピソードがとても哀しく印象的でしたっけ。。。

キーブー
2016年09月25日 22:29
りーにんさん、こんばんは
はい。ちっとも遅くないと思いますよ
かく言う私も、こんなに読むようになったのは、こぶたたちを育て上げてホッとしてからですから。
そういえば、なんかの本のタイトルに「はじめるのに遅すぎることなんてない」っていうのが あったような(^O^)

著者によると、保険請求の処理の仕事をしていると、警察の捜査が いかに いいかげんか よくわかったのだそう。そこを読んだときは びっくりしましたが・・・でもホント。140㎝台の寝たきりの おばあさんが、そんな高いところに紐掛けなんて できるとも思えないですよね(~_~;)
動物の色のところでは、「虫の世界では緑色が流行っているけれど・・」なんて書かれてました(笑)
そして、そう! そうなんですよ!
だから すっぽんは滋養強壮にいいんだな、っていうのが著者の感想でもありました(笑)
たしかに、さばかれてから数時間たっても まだ捕食者(鍋を囲んでる人間ですね笑)を威嚇できるんですからね。すごい生命力!(^◇^)
2016年09月25日 22:39
日本人は、考えてみたら残酷な国民かもね
魚も生き造りで、ピクピク動いているのを見ながら食べるし
シロウオの踊り食い
すごいわよね
2016年09月26日 00:51
♪ こんばんわ
スッポンの話しは笑えませんでした
ミスチルのイノセントワールドという
楽曲の歌詞に・・・「近頃じゃ
夕食の話題さえ仕事に汚されていて」♪
とありますけど・・・まさにこれかna
楽しい食事なんてありえない!
命の上にある食ですから
見えない物を信じれない愚かさを感じますne
勿論!作者のことを言ってるんですyo ☆
2016年09月26日 10:22
悲しいかな ほんと 図書館 行かなくなっちゃった むかし 入りびたってた わたし どこ行っちゃったのかなー
キーブー
2016年09月26日 21:11
もうヘトヘトさん、こんばんは
お刺身の活造りは、たしかに残酷かも。外国の人は びっくりするみたいですね^^;
私も、小学生のときに釣りに連れて行ってもらって、獲れた魚をすぐに さばいてもらって食べたことがあるのですが。
身がまだピクピクしてて、吐き出しちゃいました(~_~;)
しばらく眺めて、ちゃんと死んだのを確認して食べた覚えがあります(笑)
キーブー
2016年09月26日 21:17
アメネコさん、こんばんは
たしかに、『食』 って、生きものの 命の犠牲の上に成り立っているんですもんね。
食事をするときは、いつもそのことを頭に置いて、感謝の念を抱くべきですね。不味いとか美味しいとかより先に。
スッポンも、すごい生命力ですよね。私なら、そんなに何度もガンを飛ばされたら とてもじゃないけど食べられないですね(笑)
そりゃ滋養強壮にいいわけだ、って納得でありました。

キーブー
2016年09月26日 21:19
seiziさん、こんばんは
私も、昔ほどは行かなくなりました。というのも、1冊読むのに時間が掛かるようになったから^^;
でも、行くとやっぱり落ち着きます。あの雰囲気がいいんですよね(*^_^*)

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