「くいいじ」




夏にめまいを起こしてからというもの、がったりと読書量が減ってしまった私

まあ、読めないというわけではなく、目を酷使しないように気を使っている
だけなんですけどね。


それで、空いた時間何をしているかというと・・・韓国歴史ドラマなんぞを
観ていたり。

それだと読書量を減らした意味がありませんがな!って感じですが^^;



そんななか、読み終えたのがこの本。

安野モヨコ著 「くいいじ」上・下


この人の作品では「美人画報」というのを読んだことがありますが。

おしゃれ関係のあれこれが書かれたエッセイ漫画で、とても楽しい内容でした。

女子らしく心弾ませておしゃれに気を使っている感じがよく出ていたし、画も
かわいくてキレイで。


ただ、著者が若いときの作品なので、テンションも高いし いろいろと細かい
書き込みも多いので、読む側も元気な時でないとちょっとしんどいかなという
感じでしたが(^^ゞ


今回は食べ物に関するエッセイで、画もお話ごとに1カットずつ挿絵が
挟まれているだけで、しっとりと落ち着いた感じに仕上がっておりました



私は、食べ物に関するエッセイや雑文を読むのがとても好きなんですよね。

自分で料理するしないにかかわらず、これほどその人らしさが出る題材も
なかなかないと思います。


しかるに、この安野モヨコさん。

ご自分でしっかりと料理をするタイプみたいですね。

でもそれに固執しているわけではなく、デリバリーや外食などもするし。

よく、手作りするならもうそれだけときっぱり決めていて、できあいのおかずを
買うのを蛇蝎のごとく嫌ったり、あるいは反対に一切料理をしないで外食のみ
と決めてしまったりする人がいますが。

そういうふうに偏ってしまうのは、あまり好きじゃないですね。


自分の食べるものくらい自分で作れなくてどうするんだとは思うけど・・・、
だからといって365日、自分で作っていたのでは息切れしてしまうし。

いい加減がちょうど良い加減なのだと思います(^^ゞ



まあ、それはともかくとして(^^ゞ

「ネーブル」と題されたお話の中で、夫の実家からネーブルが送られてきた
というくだりがあったのですが。

庭の小さな木に実った数個のネーブルを、義母が小さな段ボールに入れて
送ってきてくれたのだそう。

著者はそれをとても大切に味わって食べています。

その部分を一部抜粋しますと。


お店で売っているネーブルと比べると幾らか小振りで、無農薬なので皮も
ピカピカというわけではない。

それでも皮をむくとこぼれる程の果汁が初めて触れる空気に輝いており、
「いただきます!!」という気持ちで口にした。

なんというか濃い。
甘味だけじゃなくて、こっくりとすっぱい。

子どもの頃食べた蜜柑の様な味がする。



実はこのネーブル、ガンで亡くなった著者の義父が丹精していたネーブル
だったのですね。

ほかにも、いちじくやら野菜やら、亡くなるまで体の動くうちはいろいろと育て
ていて、手作りのいちじく酒を毎年贈ってきてくれたのだそう。

夏に帰省すると、義父が丹青した野菜を使った料理が所狭しと並んで、
歓迎してもらったのだそうです。


ネーブルを食べながらそんなことを思い出し、著者がまだ夫の実家に慣れて
なかったときの訪問のことも思い出したりしています。


結婚前に法事で行ったときは、お経をあげ終わった和尚さんの話を緊張
しながら正座して聞いていた著者。

「長男の嫁って大変そうだなー・・・面倒なこと多そうだなー・・・」
そう思うと、早くも帰りたくて仕方がなかったそうですが(笑)

第一、両親ともに和尚さんの話も聞かずにどこへ行ったのかと見回して
みると。

庭に脚立を持ち出して、和尚さんにあげるためのいちじくをもいでいた
のだそう。


体の小さい年寄りふたりのこと、グラグラしていてとても危なっかしく感じ、
それが気になるも遠慮もあって自分がやるからとは言いだせずにいる著者。

そうこうするうちに足はしびれてくるし、和尚さんの話もいつのまにかニューヨ
ーク旅行が楽しかった、などという話に変わっているし(笑)


天気の良い昼間によく知らない家の居間で自分の置かれている状況が
あまりにシュールで、こみあげる笑いを必死でこらえたのだそう。


そんな感じ、なんだかよくわかりますよね。

著者の繊細な感受性を、とても好もしく思った私でした(*^_^*)


その時に思い出したのが、少し前にネットで投稿されていたある文章。

そこには、夫の実家からたった数個の夏ミカンが送られてきたと書かれて
あり、庭の木になったからって、たったそれっぽちの夏ミカンを送ってきて、
しかも買ったほうが断然おいしいし・・・どういうつもりなんでしょう、なんて
書いてあったのを思い出しました。

この人、心の粗い人だなあと思い、そんな人とも知らずに丁寧に梱包して
大切な夏ミカンを送った姑さんを気の毒に思った私でしたが。

それとはまったく正反対なお話でありました^^;



あと、このエピソードは食べ物とは直接かかわりがないのですが。

よく、成功したかったら、成功している自分の姿をありありと思い描くとよい、
などといいますよね。

そうなると、漫画家はかなり願望を実現しやすい職種であるといえますが。


実際、著者も、こういう資料がないかな、と思い描きながらブラついていて
何の気もなく入った古本屋さんでそのものズバリの本に出会えるといった
体験が何度もあるのだそうで。

これって、同業の人と話してみても、みんな一様に同じことを言っているのだ
そう。

すごいですよね

思い描く、イメージするって、やっぱ大切なんだなあと思った私ですが。


「フクちゃん」の作者である横山隆一さんの随筆の中にも同じような話が
載っているのを、著者は読んだことがあるのだそうです。

なんでも、オチに落下するシーンを多用していた漫画家の友人が、本当に
自分も高いところから落下する事故で命を落としたのだとか

それ以来、横山氏も落下のオチを使わなくするようになったのだそう。

これは、ちょっと怖ーい


どうせ思い描くなら、イイコトを思い描くようにしなくちゃ(~_~;)



長くなるのでこのへんにしますが(^^ゞ

このヒトの未読のエッセイもぜひ読んでみたくなりました。


こういう感性、好きだなあ♪



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