面白かったーー!(^◇^)




図書館で、超ド級に面白い本と出くわしました

これ、近年読んだ中では、ベスト1かも


長浦京 著 『赤刃』


2012年1月に発行されているこの本。

巻末の著者の紹介には、この作品で小説現代長編新人賞を受賞し、現在は
そば店勤務のかたわら執筆活動を続けている、とありました。

これだけの小説が書けるのに、まだ専業小説家じゃないなんて

でも、この人は絶対に近いうちに 押しも押されもせぬ小説家になると思い
ます、ってか、今ごろはもうそうなってると思います(^^ゞ



ということで。

まずは、あらすじから。


ときは三代将軍、家光の御世。

江戸の町では辻斬りが頻発するようになり、数百人にも達する被害者が
出ます。

被害は次第に武家にも及び、白昼 大名屋敷に押し入って、大名の子弟を
拉致する凶悪事件が複数件おきるまでに事態は切迫。

松平伊豆守は『掃討使』と呼ばれる精鋭部隊を結成して事態の収拾に
あたりますが、その掃討使も殲滅させられてしまいます。

打つ手のなくなった伊豆守は ある男の存在を思い出し、彼を新たに
掃討使に任命するのですが。

さて、彼は無事に使命を果たせるのか?




冒頭、隅田川の河原で身を寄せ合って眠っていた「おんぼろ」と呼ばれる
物乞いたちが、数人の若い武士に面白半分に切り殺されるところから
物語は始まります。

この武士たち、まだ幼な顔が残っているような若さなのですが。

名を上げるために夜っぴて今評判の辻斬りを探し回ったものの、空振りに
終わったため、血気を押さえきれずにこんなことをしているのですね。


腕もまだ未熟なため、不必要に「おんぼろ」たちを苦しめながら次々と惨殺
していくあいだも、高笑いをしている武士たち。

そこへ件の辻斬りが現れ、たったひとりであっというまに武士たちを
切り伏せてしまいます。

辻斬りの足元に這い寄り、彼を拝んで涙ながらに礼を言う「おんぼろ」たち
ですが。

辻斬りはこともなげにそんな彼らをも切り捨て、ひとり残った「おんぼろ」に、
このありさまと恐怖を皆に伝えよ、と命じるや、彼の目を切り潰して消える
のですね。


いやあもう、この冒頭シーンからしびれました(笑)

この辻斬りは複数いるのですが、彼らには善悪や情などまるで通じず、
まるで怪物のよう。

松平伊豆守が任命した掃討使は、選り抜きにもかかわらず9人はあっけなく
殺され、ひとりは行方不明、ひとりは瀕死の重傷を負わされ、なんとか恢復
したものの、不自由が残る身となるのですね。


公儀とて手をこまねいているだけではなく、辻斬りの身元もなんとか特定
し、その履歴も調べ上げてはいます。

それらを書きつけた帳面のタイトルがなんと『凶人帳』。

それほどに、犯人たちは異常な人物なのですね。


主犯格の男は、3兄弟ともに、父親から過酷な教育を受けています。

小者から成り上がった武士である父親は、子どもには強い武士になって
欲しいと願うあまり虐待まがいの鍛え方をしたあげく金で買ってきた町人を
ひと月に1回、切り殺させるのですね。

耐えかねた長男が殺人を断ってその町人を逃がそうとするのですが、
それを見た父親は長男とその町人を切り殺し、弟たちへの見せしめと
します。

上の弟は、のちに父親をいくさの どさくさの中で殺し、その後も常軌を逸した
殺人を繰り返した挙句に捕まるのですが。

慈悲深い老僧が自分の寺で引き取ろうと言ってくれたため切腹をまぬがれ、
その後 その寺で修行をして内省のときを過ごし、一緒に暮らす僧たちとも
打ち解けて話すようになります。

二十年近くをそうやって穏やかに過ごしたある日、突然、恩師をはじめ僧たち
を皆殺しにして、寺を逐電するのですね。

この男が、今回の辻斬りの主犯になるのですが。

一番下の弟は、これまでの忌まわしい人生を忘れ去るため山にただひとり
こもって獣のように暮らしていて、今回、兄についての聞き取りのため 探し
出されたところ、言葉すら忘れかけていて、もはや人とも呼べないような
ありさまだったのですが。

自分たち兄弟の生い立ちを話したあと、すぐまたすべてを忘れるために
山に戻ってしまうのですね。

この主犯格の男は妻子もいたのですが、それらを公儀に人質にされて、
あげくに公開処刑されても、まったく心を動かしません。

なんというか、もう異形の者としか言えませんね。


似たような者たちで結成された辻斬り集団は、向かうところ敵なしといった
感じで、どんどん凶悪度を増していきます。

そして、民百姓の怒りはその辻斬りにではなく、彼らのなすがままに無力で
無能である公儀、すなわち幕府に向けられていくのですね。


これではならじと、伊豆守が最後の切り札として掃討使に任命したのが
小留間 逸次郎(こるま いつじろう)という男。

旗本の次男ですが、幼いころから武芸に優れ頭もよかった彼は、それを
ねたんだ仲間に真剣での立ち合いをふっかけられて、14歳でその相手を
誤って殺してしまうのですね。


追う方も追われる方も、重い過去を背負っていますが。

この戦いはまさしく死闘。

辻斬りをひとりまたひとりと片付けていく逸次郎も、そのたびに傷を負い、
満身創痍となりますが、残った敵は容赦なく攻撃を仕掛けてくるし。


この作品、ぜひ映画化してほしいです。

私の頭の中ではもう、すでに映像化されてますけどね(^O^)



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