「ブラックアイス」




酷暑のさなかだというのに、あまりのおもしろさに一気読みしてしまったのが、
この本です

マイクル・コナリー著 「ブラックアイス」


ご存じ、ハリー・ボッシュ刑事のシリーズですね

このシリーズ、以前ほかの作品を読んだことがあるのですが。

そのときもおもしろいと思ったものの、例によって手持ちの未読本に埋もれて
いるうちに記憶の彼方となってしまっておりました(笑)


タイトルの「ブラックアイス」、季節柄、とても涼しげに感じられますが。

実は、新種の麻薬のこと

物語の鍵となっていきます。



事件は、とあるモーテルで麻薬捜査官のムーアの死体が発見されたことに
端を発します。

死因は見るからに自殺だったのですが。

検視の結果、巧妙に仕組まれた他殺であることが判明。

そこで我らがボッシュ刑事が捜査に乗り出すわけですね。



このボッシュ刑事ですが。

以前扱った事件で犯人を射殺したことが問題となって、ロス市警から
“下水”と呼ばれているハリウッド署へ飛ばされるはめに陥っています。

誰もが認める腕利きの刑事でありながら、信条を曲げない頑なさと 上に
媚びない性格が仇となっているのですね。


今回の事件も、最初から蚊帳の外に置かれたにもかかわらず、彼一流の
ねちっこさで、どんどん事件の核心に迫っていきます。

直属の上司はもちろん、内部監査の部門のお偉いさんにまで頭を押さえ
つけられても、いっかな引っ込む素振りすら見せず黙々と捜査をするボッシュ。

ストイックで、カッコいいですね


そんな彼ですが。

なかなか大変な生い立ちで、街娼だった母親は息子の養育権を取り上げ
られてしまい、彼は孤児院や、いろんな里親のもとで育つのですね。

そんな半生も、彼の性格形成に相当影響を及ぼしたのでしょうが。

成長してから、彼は父親を探し出して会いに行っています。

初めて見る父親はすでに死の床にありましたが、
「おまえのことはずっと気にかけていた」
という言葉を、息子にかけるのですね。

その後父親は亡くなり、ボッシュは警察に入職します。

過酷な少年時代を鑑みるに、いつ道をそれてもおかしくなかったボッシュ
ですが。

彼が道を踏み外さなかったのは、実際に息子を手元で育てることは叶わなく
ても、一緒に住むことを目標に頑張り、死ぬまで彼女なりの愛情を示していた
母親の姿と、最期のときに優しい言葉をかけた父親の存在があったからなの
でしょうね。


このことは、今回の事件にも大きく影響してくるのですが。


過去にボッシュと同じような痛みを持つ警官が、ボッシュとは正反対に過去に
呑まれていくさまが描かれています。

似たような生い立ちのふたりだというのに。。。


また、ボッシュは、これと見込んだ相手はとことん信頼していくのですが。

捜査をするうえで相棒となるメキシコの捜査官・アギラと、亡くなったムーアの
妻のシルヴィアと出会うことになります。

特にシルヴィアは、女性としてボッシュの心を捉えていくのですが。

このふたりが、本当に信頼できる人物であるのかどうか。

読んでいくうちに、それがとても心配になった私。


このふたりを信じ、まっすぐに事件に取り組むボッシュを見ていると、どうか
その信頼を裏切らないで上げてほしいと祈りつつ、読んでおりました。


さて、私のその願いは叶うのかどうか(笑)

最後の最後に答えは用意されています




このシリーズ、とてもおもしろいので、おいおい未読のものを読んでいこう
と思っておりますが。

ただ今回、残念だったことがひとつだけ

ストイックでカッコいいボッシュ刑事が、作中でなんと
「うんにゃ」
などと口にするシーンがあったこと。

気安い同僚に対して、否定形の返事を返す、取るに足りない場面だったの
ですが。

「うんにゃ」って・・・

これはもちろん、訳者の方に言うべきことですね。一考願いたいもんです^^;



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この記事へのコメント

2012年08月08日 18:45
『ブラックアイス』読まれましたか。
読んだのはずいぶん前なので、ねこのひげも読み返してみるかな?
このあとにリンカーン弁護士の2冊目『真鍮の評決』を読むとおもしろいですよ。
ボッシュとその父親が出てきます。
さて、どんな理由で出てくるかは読んでのお楽しみですがヽ(^。^)ノ
ひまわり
2012年08月08日 20:31
マイクル・コナリーはねこのひげさんの
記事を拝見して「ブラッド・ワーク」を
手始めに読破中です。今は「真鍮の評決」
を。法廷ものは読み応えがあり面白いです。
私的には「ザ・ポエット」も面白くイッキに
読んでしまいました。それとキーブーさん
オススメの北大路さんのエッセイも笑い転げ
ながら読了しましたよ^^。
「悪の教典」は上下巻でかなり重いかもです。
たぶん物議を醸す作品ではないかと…^^;



2012年08月09日 00:01
読みたくなりました。さすが、キーブーさん。
惹きつけられます。
こういう話、興味ひかれますね。。。
キーブー
2012年08月09日 17:14
ねこのひげさん、こんにちは
これ、少し前に読了してた本ではあるんですけどね^^;
『真鍮の評決』ですか。次に図書館へ行くときには忘れずに予約してこなきゃ♪ 耳寄りな情報を、ありがとうございます(*^_^*)
ボッシュの父親が出てくるんですね。まだ存命だったころの話なんですね。
たしか、母親違いの長兄は弁護士だか検事だかじゃなかったかなあ?「ブラックアイス」のなかでそんな話がちらっと出てました。
キーブー
2012年08月09日 17:18
ひまわりさん、こんにちは
このボッシュもの、私も今後は時系列で読んでいきたいなあと思っているところです・・・と言いつつ、またもや手持ちの本で溺れてしまうかもしれませんが(笑)
北大路さんのエッセイ、ほかのも本屋さんで見かけましたが、まだ文庫にはなってないみたいです。買うなら文庫まで待たなきゃだし、でも早く読みたいし・・・と考えた挙句、文庫になるまで待つことに(爆)
ああホント、今から待ち遠しいです(笑)
キーブー
2012年08月09日 17:20
たかじいさん、こんにちは
お褒めいただき、ありがとうございます(*^_^*)
たかじいさんの写真も、このところ妖しい魅力にあふれた独特な感じのものが多くなってますね
見慣れた風景を、あのように独特に切り取るというのも、才能だなあとしみじみ思います。スゴイ!
2012年08月09日 18:41
最近めっきりと小説読んでないな.....。殺人事件のとかUMAとか仏や鬼の本とか、そんな本ばかり読んで雑学の知識ばかりが養われていく(笑)物書きならまだその知識は必要不可欠だけど、物書きさんが書いた物を読む側なのでただの雑学豊富な人なのよね(^^;)しかもほ~んと、知識人みたいな雑学じゃないからただの『変な事知ってる人』だしさ。困ったもんだ。そういや覚せい剤を『冷たいの』と隠語で言うとかだった様な。違うかもしれないけど。だからブラックアイスなのかな?ってそんな事どうでも良いよねぇ(笑)
2012年08月10日 04:44
面白そうね。
アメリカ的なストーリーで
>「うんにゃ」
どういうシーンでなのだろう
2012年08月10日 06:15
あまり書くとネタバレになって読むときに面白さが半減すると思ったのでぼかしたんですが、父親は無くなってます。

「うんにゃ」というのは、たしかに。1冊目でも似たような発言がありますね。
訳した人の問題かも・・・・・
キーブー
2012年08月10日 17:08
miyoさん、こんにちは
暑いなか、連投コメントいただき、ありがとうございます(*^_^*)
ああ~・・・それって、まるで私のことかと思っちゃった(爆)
ホント、何の役にも立たない知識ばっかあるね、って、よくこぶたたちに言われます。役に立たないどころか、何でそんなこと知ってるのかって不審がられたり(自爆)
こんな私ではありますが、50の大台を目前にして、さすがに最近ではちょっとだけUMAとUFOへの関心は薄れてきたかも。でもオカルト方面にはまだガンガン行ってるけどね(笑)
『冷たいの』、私も聞いたことあるわ~。たしか映画でだったかなあ。
だからブラックアイスだったんだね。なるほど。またひとつ賢くなりました(^O^)
キーブー
2012年08月10日 17:12
もうヘトヘトさん、こんにちは
はい、おもしろかったです。一気読みしちゃいました
「うんにゃ」は、同僚が何かを訊いてきて、それに対して否定形の返事をするところだったと思います。訳者はきっと、ふたりの気の置けない感じの関係性を出したくてそう訳したんでしょうけど・・・でもねえ(笑)
普通に「いや、・・・」くらいのことで良かったんじゃないのかなあ(~_~;)
キーブー
2012年08月10日 17:16
ねこのひげさん、こんにちは
再度のお越し、ありがとうございます(*^_^*)
父親が亡くなってからのことなんですね。なるほど。了解です
「うんにゃ」って・・・「いいや・・・」「いや・・・」じゃダメだったんでしょうかねえ
なんか、「水戸黄門」に出てくるお百姓さんとかを思い出しちゃいました(笑)スタイリッシュなボッシュにはまーったく似付かない言葉ですよね
2012年08月10日 18:48
うんにゃ イイ男もそう返すに違いないよ~~^^
キーブー
2012年08月10日 23:47
まるおおさん、こんばんは
うんにゃ イイ男はそうは返さないと思うよ~~(^O^)
少なくとも、ボッシュには口にしてほしくないなあ(笑)
2012年08月17日 08:07
>父親はすでに死の床にありましたが、
「おまえのことはずっと気にかけていた」
という言葉を、息子にかけるのですね。

人は逝くときに自分の生きてきた証として、肉親を確認したがるのでしょうか。無の世界に入って行くのは寂しいのでしょうね。-----ついお盆ゆえに寂しいコメントでした。
キーブー
2012年08月17日 17:00
moumoupapaさん、こんにちは
父親は裕福でちゃんとした家庭を営み、そこに長男も生まれていて、普通ならいきなり出て来たボッシュは面倒の種としか認識できないところですが。
死を目前にしていたから、それまでほったらかしにしていた息子にやさしい言葉をかけた、ということもあったでしょうが。
これまでの人生で、やはり息子のことを心のどこかでずっと気遣っていたのでしょうね。愛情があったということですね。それがわかってボッシュも人生を切り開いていく力を得たということでしょうか。
やはり人は愛情無しには生きられないということなんでしょうね。

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