なんとも凄い人生です^^;



いちばん最近に読んだ本2冊が、ジャンルは全く違うのに偶然にも どちらも
キリシタンが大きな役割を果たしていたんですよね。


1冊は、『捨て童子 松平忠輝』という作品で、著者は隆慶一郎

これは、タイトルからもわかる通り、徳川家康の息子で、秀忠の弟にあたる
松平忠輝を主人公としたお話。

全3巻のこの作品も、とても壮大で面白い作品だったのですが。

ま、この作品についての感想はまた次回ということで(^^ゞ



今回、紹介したいのはこちら

坂東眞砂子著 『旅涯ての地』

1200年代のヴェネツィアが舞台となっています。


世界をまたにかける商人であるポーロ家の男たちが、長い年月を元王朝
クビライ・ハンに仕えたのち、やっと故郷ヴェネチアに帰還するところから
話は始まります。

ポーロ家の家長・ニッコロには、マルコという息子が同行しているのですが。

そこまで読んでも、何も気づかずにいた鈍い私^^;

かーなり読み進んでから、あっと気づきました。

マルコ・ポーロだ!


はい。あの「東方見聞録」を著した、有名なマルコ・ポーロであったのですね^^;


ま、でも、この物語においてはマルコ・ポーロは脇役もいいトコで、彼が再び
旅に出て「東方見聞録」を口述するのは、すべてが終わってから、もっとずっと
あとのことになります。

それはさておいて。


主人公は、そのポーロ一家に仕える奴隷の、夏桂(かけい)という男。

倭人(日本人)と元人の混血で、元で奴隷商人に捕まりポーロ家に売られ、
そのままヴェネツィアに連れてこられたのですね。


当時、奴隷といえば過酷な仕打ちを受けるのが常だったのに、このポーロ家
での待遇は まだしもマシな方だったので、夏桂はすぐにこの地に馴染み、
言葉も覚え、それなりに穏やかな日を過ごしていたのですが。


ポーロ家が隠密裏に進めていた“聖杯”の探索にかかわるうち、彼の運命
は大きく変化しはじめます。



当時のヴェネツィアはローマ教会が大きな勢力を持っており、見つかった
異端者は、公開処刑されたりしていたのですね(~_~;)

そのなかで、異端・カタリ派と呼ばれる一派があり、その信徒たちは
通称“善き人”と呼ばれているのですが。


夏桂は、ある事件に巻き込まれたことからポーロ家を出奔せざるを得なく
なり、その際に知り合った異端・カタリ派の信徒の女性、マッダレーナ
ともに一派の隠れ里に逃げることになります。


マッダレーナは、マグダラのマリアが書いたとされる福音書を探し出すと
いう使命をカタリ派の司教から受けていたのですが。

ポーロ家とローマ教会が協力して必死に探していた“聖杯”とは、実はその
福音書のことだったのですね。


なりゆきから夏桂の助けを受ける形になり、首尾よく福音書を手に入れた
マッダレーナは、夏桂とともにポーロ家の追手からなんとか逃げ切って、
無事にカタリ派の里に隠れるのですが。

マッダレーナに連れられてきた夏桂を、司教はじめ里の信徒たちは温かく
迎え入れてくれます。

見慣れぬ異人であり異教徒でもある夏桂を、ローマ教会のように排除したり
はしないのですね。


そこで暮らす“善き人”たちは、厳しい戒律に従って、わずかばかりの野菜を
分け合って口にし、そのつつましい夕食のあとは灯りのもとに皆で集まって
教義を聞くのが日課という、穏やかな日々を過ごしています。

奴隷の身分から自由になり、なおかつ牧歌的な里の暮らしに接するうち、
夏桂も久方ぶりに人間らしいのびのびした気持ちを取り戻すのですが。


ある日、近くの村に異端審問官が来ることになり、穏やかだった里には暗雲が
立ち込めるのですね。

そのうえに、皆を優しく愛情深く取りまとめていた司教が亡くなったことで、
里は内部からも崩壊することになります。


さて。

救いを求める人々を温かく包んでいたカタリ派の里は、いったいどうなって
しまうのか。

夏桂は、どうなるのか。

あとは読んでのお楽しみ(^O^)


後半は波乱に次ぐ波乱で、思いつく限りの苦難が信徒たちを襲いますが

それでもラストでは、純粋に生きてきた人たちが救われていたので、ほっと
したのでありました。


それにしても。

信徒たちの過ちを大きな心で受け止め、優しく導いていた老司教が亡くなった
あとに司教となったエンリコという信徒。

彼は、亡くなってまだ間がない司教のこれまでのやり方を否定し、一度でも
戒律に背いた者は信徒たる資格がなく、したがって死後は天の国には
行けない、などと言い出します。

死後に天の国に行くことだけを心の支えに、つらい人生を生き抜いてきた
信徒たちは恐慌に陥り、混乱するのですが。

そんな憐れな彼らを前に、滔々とおのれの正しさと皆の至らなさを説く、
エンリコ新司教。


異教徒である夏桂は、その光景を、『殺してはならぬ』という教えがあるわり
に、コイツは皆の魂を虫けらのように踏み潰して殺しているな、と客観的に
見る場面があるのですが。

そう。

結局は、異端者を殺しまくっているローマ教会と同じことをしているわけです
よね。


エンリコ新司教は、もはや“善き人”ではないな

これは・・・“正しいだけの人”だ

私も、そんなことを思って読んでおりました。



最後に、蛇足ですが。

夏桂に深くかかわってくる女性は、マッダレーナと、あとひとり、ディアマンテ
という、奔放な村娘がいるのですが。

このふたりの名前の由来が、何とも印象的だったんですよね。

ディアマンテは、神の愛人(ディオ・アマンテ)、マッダレーナは、マグダラの
マリアという意味。

どちらも、とても美しい名前ですね(*^_^*)



ということで。

例によって、長くなってしまいましたが^^;

最後まで読んでくださって、ありがとうございました




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この記事へのコメント

2014年11月19日 02:54
坂東眞砂子さんの本は、何冊か読んでいますが、この本は読んでいない。
>死後に天の国に行くことだけを心の支えに
死んだ後なんてどうなったっていいじゃない
死後の世界があるかどうかだってわからないのに
これじゃ、救われないかな
現世だって、神も仏もないと、神様と仏様をよんで説教したい私だけど
2014年11月19日 15:45
本当に日本のものに疎くて、この作家さんの作品も読んだことありません。
でも読みたくなったのでさがしてみます。
キリスト教はそれこそ理解できないところが多いのに、勉強しなければいけないので、こういう風に物語でキリスト教のあり方にさわれる本はとてもありがたいのです。
勉強してる感じなく知識がふえるので助かります。
キリスト教の矛盾、おもしろそうです。
2014年11月19日 16:31
そっか 最後はほっとしたのか 安心安心^^
坂東眞砂子って私には読んでてきついな~~ってのが多くってさ~
でも「桜雨」はちょっと好きだったかも~
キーブー
2014年11月19日 22:58
もうヘトヘトさん、こんばんは
現代に生きる私たちからしたら、死後のことなんて誰にもわかりはしないのに、って思ったりしますよね。
この時代、貧富の差が激しくて人権なんて下層の人間には無いも同然で、異教徒であるというだけで簡単に殺されてしまうような社会に生きていると・・・やっぱり望みは、死後の天国ということになるんでしょうね。っていうか、それしか希望が無いというか(~_~;)

>現世だって、神も仏もないと、神様と仏様をよんで説教したい私だけど
ぶはは~!
ヘトヘトさんらしいなあ
並んで正座して説教されてる神様、仏様が一瞬頭に浮かびました(爆)
キーブー
2014年11月19日 23:04
ミルテさん、こんばんは
キリスト教とひとくちに言っても、いろんな派がありますもんね。
今日、読んでいた本にも偶然、カトリックとプロテスタントの根深い対立が描かれていました。異教徒である私たちにはよくわからない世界ですが^^;
仏教も、いろんな派に分かれてますが・・・ここまで対立することってあまりない気がするのですが、どうなんでしょうね。みんな仲良くすればいいのに、なんて・・・単純にはいかないんでしょうね(笑)
キーブー
2014年11月19日 23:07
まるおおさん、こんばんは
「桜雨」ね。図書館で探してみようっと
坂東眞砂子って、私もたぶん、他にも何冊かは読んでると思うけど・・・読んでたかな?思い出せないけど(笑)
これも、ぐっと引き込まれる作品だったけど、読むのに気力もいるなあとちょっと思ったり。体調の悪いときは無理かな^^;

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