じつに、面白い!




人にはそれぞれ、見ていてちっとも飽きないくらい面白く感じられるものが
あると思いますが。

私にとってのそれは、“ 理系の人 ” なのでありますね


メジャーなところでは、東野圭吾の連作推理小説 『 ガリレオシリーズ 』
主人公、テレビや映画では福山雅治が演じていた湯川教授

めっぽう頭がいいのに、ミョーなところにこだわりがあって、ミョーにとんちん
かんなところがツボでありました(笑)


それと、いまひとり、作家なのにガッツリ理系で、とっても面白い人がいるの
ですが。

それは、森博嗣 (もり ひろし) 氏。


もともとは名古屋大学の助教授だったのですが、中年期を過ぎてから作家に
転身されたのですね。

『すべてがFになる 』 など、たくさんの作品を世に出されております。


その作品の面白さも さることながら、随所にみられる彼のこだわりが
また興味深くて面白いのでありますね。


そのひとつが、カタカナ表記に関してのこと。

彼の文章では、スーパーはスーパ、マイナーはマイナ、ミステリーはミステリィ、
コンピューターはコンピュータ。

同じように、ペリコプタ、モータ、エネルギィ、メーカ、ストーカ、ペーパ etc.。


これは何故かというと、「 スリッパ 」 には 「-」 をつけないのに 「ストリッパー」
には付けるという世間のいいかげんさに困惑していて、旧JISの規定を参考に
して、綴りがerかorでカナで3文字以上のものには語尾の長音を付けないと
決めているのだそう(笑)

その理由は、ルールが明確だと悩む必要がなく楽ちんだから、ということで、
他人はべつにバラバラでもかまわないけれど、自分としては いちいち考えた
くないのでルールは持っていたい、のだそうで(^O^)


また、それに関しては、
「 森博嗣はどうしてタクシーをタクシと書かないのか?と呟いている人が
いたが、それを言うなら、みんなはどうしてタックシーと書かないのか不思議
である 」
とも。

エックスはエクセルだし、マトリックスも、今ではマトリクスと書かれることの
ほうが多い。

でもすべて統一するとなると 「 ゼロクス 」 とか 「ミクスジュース 」 と書かなく
てはいけなくなり、抵抗を感じる人も多いだろうし・・・でも、混在したままにする
よりは ましではないか、とも。

さらに、「 アレキサンダ 」 (すでに語尾の長音は略されてますね 笑) は
どうして「 アレッキサンダー 」 ではないのかな?などという疑問も呈されて
おりました。


いやはや。

私なんぞは生まれてこのかた、そんなことは1ミリも考えてみたこともない
けどなあ(笑)

頭のいい人というのは、本当に、凡人には思いもよらないようなことを
常に考えておられるようです


これらのことは、ふだんから主張しておられるのですが、今回読んだこの本
にも、書かれておりました。


森博嗣 著  『 本質を見通す100の講義 』



この本の中では、熟語に部分的にひらがなを入れるのも読みにくいものだ、
と主張されていたのですが。

こっちの方は、私も以前から折に触れ感じてたんですよね。


埠頭など、最近は新聞でも 「ふ頭 」 と表記されてますよね。

それを読んだとき、一瞬、「 ふあたま 」 って何??って思ったし。

なにより、字づらが美しくないです

著者も、「辛らつ」 なんて書かれると 「からつ」 って何だ?と思うし 「ち密」
なども元の漢字は何だっけ?? 血じゃないよな、なんて余計なことを考えて
しまう、と書かれていました。

ホントホント。

これに関しては、全面的に賛成であります。



今回は、面白く感じたことから書き始めたので、先に紹介した本の内容が
後回しになってしまいましたが^^;

『 本質を見通す100の講義 』は、エッセイ形式で書かれたもので、タイトル
どおり100の名題が掲げられており、それについてきっちり見開き2ページ
で語られています。

『 サブウェイで注文できる人は、まだ老年ではない 』

『 馬鹿にされるって、どういうこと? 』

『 はっきり言って、作家の仕事の30倍は、大学で働いた 』


ほかにも、興味を惹かれる名題が目白押しでありますが。

なかには、
『 絶対に勝てない奥さまがいる 』
なんていうのも(笑)

著者の妻は、ささき すばる氏という、イラストレータ (著者流の表記に従って)
なのですが。

これに付けられた副題としては、
“ たぶん、奥さまは、「 絶対に負けられない夫がうちにはいる 」 と認識して
いるだろう ”
でありました(^O^)


なかでも吹きだしてしまったのは、『百パーセントというとき、母数がなにかを
確認しよう』
と題された章。

だいぶ昔、「ボンカレーは牛肉百パーセント」 と書かれた広告を見た小学生
の著者は、
「だったら、カレーじゃないよね」
と、お母さまに言ったのだそう。

冒頭のこの述懐を読んだだけで、夜中の布団の中で声を出して笑って
しまった私

案の定、お母様には黙殺され、周りにも まったく相手にされなかったのだそう。

そうでしょうね(^O^)


あと、「無農薬百パーセント」 というのも どこかで見たことがあるそうで、
私はその部分を読んだときには、パッとわからなかったのですが。

はい。

著者が言われるように、気持ちはわかるけど言いたいことは 「農薬ゼロパー
セント」 ってことだろうし、ゼロのときはパーセントはいらないから 「農薬ゼロ」
で充分だし、結局のところは 「無農薬」 と表記すれば事足りるんですよね(笑)


この本、ほかにもたくさん笑いのツボがありました。

っていうか、著者自身が、そうなのですが(笑)

でも、些末なこだわりや おふざけだけ ではなくて。


巻頭に、読書についての著者の考えが述べられていたのですが。

そこには、いつも私が思っていたことと ほぼ同じことが書かれておりました。


私は本を読んでいるとき、その本や著者へ興味が向けられているという
よりも、本をとおしての自分自身をいつも見つめていて、まるで自分の中の
奥深くを覗きこんでいるようだと感じていたんですよね。

そして、そんな自分の読書のありようを、あまり良くないというか、広がりの
ない、つまらないものだと思っていたのですが。

そんな私の考えに対しての答えが、そこにありました。

その部分を読んだとき、やっと腑に落ちたというか、ああ、これでよかった
んだなという、温かい気持ちがじわじわと広がってくるのを感じたことで
ありました。


長くなりましたが。

その部分を抜粋して、終わりにしたいと思います(*^_^*)


本というのは、窓から射し込む光のようなものであって、それであなたの部屋
が明るくなることもあれば、埃や汚れを際立たせることもある。

でも、それはあなたの部屋なのだ。光が作ったものではないし、僕は、あなた
の部屋を知らずに書いているのである。


あるときは、その光であなた自身の影がくっきりと壁に映し出されるかも
しれない。

自分の姿のアウトラインは滅多に見られるものではないから、じっくりと観察
して、楽しんでもらいたい。本を読む醍醐味は結局はそこにある。

作者を知るために、太陽を見ても眩しいだけだ。それよりも、自分の部屋に
目を向けた方がずっと有益だろう。

光は、ただすべてを照らす。

少し色が着いていたり、多少の明暗の演出はあるかもしれないけれど、
見えるのは あくまでも あなたの部屋であり、見るのはあなたの目だ。



いかがでしょう。

理系でありながら、この深い文学的な洞察力。


いやあ、ホント。好きだなあ、このヒト




本質を見通す100の講義
大和書房
森 博嗣

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この記事へのコメント

2016年04月04日 01:23
キーブーさんの分かりやすく楽しい解説で、どんな本でも映画でも興味が底知れず湧いてくるのですが、、、いつか読もう、いつか観ようと思っているうちに、絶対忘れてしまいそうな鳥頭の自分が悲しーっす。
。・゜゜(ノД`)アホ系。
あきさん
2016年04月04日 09:19
キープーさんが森博嗣と言う作家にぞっこんの様子がよく分かりました。
私は故・司馬遼太郎さんの著作が大好きなんですよ。文章の書き方が自然で読みやすく、漢字は固有の文字以外、出来るだけ使わない。
だから読んでいてすらすらと頭の中に入ってくる・・・・。
自分の大好きな作家を一人か二人、決めておくと心に安らぎというか、余裕を感じることが出来ます。他人がどう思うか、なんて関係ない。
あくまでも自分の感性と溶け合える作家・・・・現役の小説家では帚木 蓬生(ははきぎほうせい)が大好きです。人様には笑われるかもしれないけど、好きですね・・・。
2016年04月04日 11:50
森博嗣さんを調べてみました。
興味深いですね
すごいわ
ひまわり
2016年04月04日 12:17
理系の人は理屈っぽいとかいわれますが
そうなのかな?
理詰めできたらかなわないかも知れません。
わたしもミステリーをミステリと書きますね。
その方が何気に好きなだけなのですが^^;

牛肉100% いわれてみればそうですよねえ。笑


2016年04月04日 19:41
理系の人が本を書くということ自体、すごいなぁ、と思うのです。森博嗣さん、知らなかったので図書館で探して見ますw
2016年04月04日 21:55
あまり読書をしない私(^_^;)
キーブーさんの記事、すらすらと最後まで
読めました。
自分とは違う発想を持った方々の内容に
参考になる所もありました。
本を読むって事は、想像力もつくし、色んな
ヒントが隠れてるんやなって思いました。
2016年04月05日 07:27
ファックスとファクス
これ、ほとんどの人が前者を使うけど
ファクスっていうヒトもいますよね~

ということは、バーバラ
あのぉ、そのぉ。このエクセルの法則で行くと
アレはセクセルってことでいいのかい?

キャー出入り禁止になるー 

本質を見通す100の講義…
早速図書館予約してみよう。
キーブー
2016年04月05日 17:32
うきさん、こんにちは
「分かりやすく楽しい解説」なんて、最大限の褒め言葉ですね。ありがとうございます(*^_^*)
読んだあとで忘れてしまっていても、ふとしたときに「ああ、これはキーブーのブログで観た本(映画)だ」って思い出していただければ、それで充分です。
うきさんも、今は子育てにお仕事にと忙しい時期ですもんね。もう少し時間が経てば、きっと興味が湧いてくるし、空き時間もできると思いますよ
2016年04月05日 17:39
あきさん、こんにちは
司馬遼太郎の文章は、ホント読みやすくて、それでいて奥が深いですよね。あと、登場人物がイキイキしていているというか、躍動してる感じ。
優れた文章って、よけいな漢字や難しい言い回しを使わないということがまず第一条件かと。やさしい平易な表現で意を伝えることほど難しいことはないと思うので、それができる人は本当に頭のいい人というか、文章力のあるなのだと思います。
帚木 蓬生ですか。私はまったく読んだことないです。あとで検索してみますね♪
はい。好きな作家が数人いるって、心豊かになれますよね。
のんびりした雨の日など、昔よく読んだ佐藤愛子や田辺聖子のエッセイをまた読みたくなります。これ、うちの本棚にほぼすべて揃ってるんですよ♪
キーブー
2016年04月05日 17:44
もうヘトヘトさん、こんにちは
作家としては、けっこう変わった経歴の人ですよね。っていうか、作家になる前からすでに大学教員として立派にお仕事されてた人だし。
今現在は田舎にひきこもって、一日に30分か40分ほど執筆されてるほかは、一日中、趣味の工作に没頭しているとか。
鉄道模型などを、何分の一かのスケールで自分で計算されて、部品を捜してイチから作ったりなどされているようです。すごいですね。私はその分野は、まるっきり興味が持てないですが^^;
キーブー
2016年04月05日 21:20
ひまわりさん、こんばんは
理屈っぽいというか、こだわりが いろいろとあるんですよね
彼の小説にはシリーズ化してるのもあるんですが、珍しい苗字の人ばかり出るのもあるし。小鳥遊(たかなし)さんなんて、私はそれで初めて知りました。由来は、小鳥が安心して遊べるのは鷹がいないから、だそうです(^O^)
ミステリは、なんかわかる気がします。あと、ファクスも。でも「奥さまと一緒にスーパにタッパを買いに行った」なんて文章だと、けっこう引っ掛かるものがありますよね(笑)
牛肉100パーセント。それはもうカレーじゃなくてただの牛肉ですよね(爆)
キーブー
2016年04月05日 21:24
ミルテさん、こんばんは
理系の人なので、ミステリのトリックなどは物理の知識を駆使したものだったりも。その部分、頑張って読んだけど、イマイチ私には理解できませんでした^^;
小説もエッセイも、新書もお書きになってます。どれも面白いですよ。小説は、私たちより年上の大学の先生がお書きになったとは思えないくらい繊細で、登場人物の学生たちも かわいらしかったりします
キーブー
2016年04月05日 21:31
りーにんさん、こんばんは
あら! 最後まで読んでいただけたのですね。長々と書いてしまったので、きっと皆さん、途中は はしょって読まれるんだろうなあと思っていたので(笑)、とっても嬉しいです。ありがとうございます(*^_^*)
そうですね。本を読むことって、ふだんは知り合うはずもない人(すごく教養のある人や、あるいはすでに故人である歴史的人物など)と、じかに話せる貴重な体験だと思います。それも、かなり本音の部分が聴けるという(笑)
この本もシリーズ化していて、あと3冊ほどあるようですが、ビジネスパーソン向けの話などもあって、そこの部分は私にはイマイチでしたが(笑)、りーにんさんには きっと興味深く思っていただけるんじゃないかなあ
キーブー
2016年04月05日 21:38
らん太郎。さん、こんばんは
ファクス、ミステリは、ちょっとカッコイイですよね。私もこれから こっちを使おうっと♪

ええ?なんですって??
エクセルの法則でいくと・・・??

うーん
何のことだか、ちょっとわからないなあ(笑)
だってほら、私はらん太郎さんの計算式でいくと まだ23歳。しかも独身。まだまだ ひよっこの箱入り娘なもんで(^O^)エヘッ

この本、奥さまとのあれこれも書かれていて、そこも面白かったです。
こういうスゴイ人の妻になるだけあって、奥さまもなかなかに大物って感じだし(笑)
2016年04月10日 16:42
なるほどね。理系の方ならではのこだわり方があるのでしょうね。
私は、常々思っていたのが、なんで外来語を英語の発音で伝えてくれなかったかな~ということです。radioをラジオなんて覚えているから、英語を学び始めた中学生になってから困るんです!diがジになっちゃー困るわけです。Aをみれば「ア」と読んじゃうのも英語が浸透しにくい原因だと思うのですよ。
同様に、中国人の名前は中国語の発音でそのまま報道して欲しかったなあと。韓国人も。最近は、それでも金大中を「キムデジュン」と発音するように変わってきましたが、以前はキンダイチュウって言っていましたものね。
話戻して、英語の綴りからカタカナを変えるという発想も良いと思いますが、私はあくまでも発音に忠実路線を押しますね。

と、私はリケジョじゃーありませんよ。
キーブー
2016年04月10日 22:39
yu_mamaさん、こんばんは
外来語の発音ですか、なるほど。
中・高と6年かけても 英語がまったく身につかないのは、たしかにそこらへんにも原因がありそうですね。

ニュースなどでも、最近は、中国人の名前はほぼ中国語どおりに発音してますよね。
それが顕著なのは、韓国歴史ドラマなんですよ。
王さまはチョーナー、王妃はチュンジョン、世子はセジャ、大妃はテビetc.
最初の頃は「なんのこっちゃ」でしたが(笑)、ドラマを見ているだけで、けっこう覚えました。官僚の役職なども、たとえば判書(パンソ)兵書(ヒョンジョ)なども聴いただけで感じが浮かぶようになったし。語学はやっぱりネイティブの発音を聞くのが一番なんでしょうね。

2016年04月11日 14:19
昔 みのもんた氏が ラジオでよく言ってました「『ファックス』と言ってはいけない! 正式に『ファクシミリ』と 言うべきだ!」と・・・・で その理由は・・・?
キーブー
2016年04月12日 00:04
まだこもよさん、こんばんは
そういえば、作家の林真理子さんも「ファクシミリ」って言われてました。今もまだ使っておられるのかな?
基本、言葉は、相手にちゃんと伝わればいいのであって、そんなに こだわることもないとは思いますが。
でも、どうしても気持ちが悪いというか、なんだかしっくりこないことってありますよね。理系の人って、そのへん、すごく自分を持ってるって感じがする人が多いような。。。(笑)

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